レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

富山ポジティブシンキング

第3回「春」と「白えび」

2021/4/6 

東京から富山に移住して、改めて地方の食の豊かさや健康の大切さを学んでいます。富山暮らしで発見したこと、気がついたこと、クスッと笑えるネタになるようなことを徒然と語ります。

田原朋子(プロフィール)
子育てがひと段落したこともあり、30年間勤めた某公共放送系実用出版社を退社して富山県富山市にIターン。夫と猫と気楽なマンション暮らし。現在はフリーで、食と健康の編集企画・ライター業を営む。得意分野は実用もの。白井操先生には、テキストの編集や広告部での仕事でたくさんのご縁をいただいた。
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第3回 「春」と「白えび」
今年の桜は、全国的に早く咲きましたね。富山市内の桜の名所「松川・磯部堤」でも、3月26日に咲き始めたと思ったら、ポカポカ陽気であっという間に満開。4月4日には雨が降って花吹雪です。お弁当を持ってお花見とはいきませんが、たくさんの人が桜並木をそぞろ歩いていました。ユキヤナギやチューリップなども一斉に咲き、街路樹のけやきも新緑に。富山の本格的な春到来です。
さて、もう一つ、この季節の富山でのお楽しみといえば「白えび」漁の解禁です。白えびは、「富山湾の宝石」とも言われている小さなえびです。駿河湾で取れる「桜えび」の仲間ですが、その名前の通り白〜薄紅色。色合いで見たら、どちらかと言えば「白えびの方こそソメイヨシノの花びらと同じ色だなあ」と思います。

▶花も旬の食材も、一年ごとのお楽しみですね。散り際の花びらのじゅうたんや、花いかだは、桜ならではの風景で風情があります。

 

 

そんな白えびとの出会いは、富山に来たばかりだった昨年の9月です。スーパーマーケットに並ぶ高級食材・白えびに感動して「さすが富山だ!」と思いました。ところが、冬になると売られていない。なんということはない、もうその年の漁が終わってしまったのでした。旬にはルールがあるのですね。
 白えび漁ができるのは、日本全国でも水深が深い富山湾だけ。しかも4月1日から11月末までしか行われていません。これも貴重な資源を守るためです。ちなみに、土産物屋などに行けば、冷凍のむき身などが年間を通して売られています。殻をむいた白えびは、一つ一つが小指の先ほど小さく、高級寿司ネタなんですよ。

◀白えびはひげが長くて、よく見ると前脚のカギ爪の先がきれいな紅色をしています。殻つきならではの発見でした

 

 

というわけで、数か月ぶりに白えびとの再会ができました。やはり「初もの」「ハシリ」は気分が上がります。白えびは、ボタンえびや伊勢えびのように、「ここにいるよ!」と存在感を主張しすぎることもなく、影薄く3〜5cmの小さな体に長いヒゲを揺らせて店頭に並んでいます。冷凍後であれば殻がむきやすくなるそうですが、家庭で行うのはかなり大変です。
さて、どうやって食べようかしら。手っ取り早いのは、粉をつけて、から揚げでしょうか。
地元の友人おすすめの食べ方は、しいたけやたまねぎと一緒に煮てうま味たっぷりの「そうめんつゆ」を作ることでした。出盛りになったら、これもぜひ、試してみたいと思います。

▶かたくり粉をふって揚げ、レタスにのせたらレモンを絞るだけ。ビールがとても進みます。

 

第2回 「雪」と「フキノトウ」

2021/3/2 

東京から富山に移住して、改めて地方の食の豊かさや健康の大切さを学んでいます。富山暮らしで発見したこと、気がついたこと、クスッと笑えるネタになるようなことを徒然と語ります。

田原朋子(プロフィール)
子育てがひと段落したこともあり、30年間勤めた某公共放送系実用出版社を退社して富山県富山市にIターン。夫と猫と気楽なマンション暮らし。現在はフリーで、食と健康の編集企画・ライター業を営む。得意分野は実用もの。白井操先生には、テキストの編集や広告部での仕事でたくさんのご縁をいただいた。

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第2回 「雪」と「フキノトウ」

「スノーシュー」をごぞんじでしょうか? 昔でいえば「かんじき」になります。防水された靴にスノーシューをセットすると、雪山を歩くのにとても便利です。便利なだけではなく、真っ白な処女地を、新雪かき分けワシワシと歩く楽しさたるや!運動音痴の人にもオススメのレジャーです。
こんな遊びができるのも、ここ富山県が世界でも有数の豪雪地帯だからでしょう。先日は、立山山麓スキー場近くのハイキングコースを、ワシワシと2時間ほど歩いてきました。車で1時間以内の日帰りです。

◀スノーシュー(レジャー用のレンタルです)で歩けば、雪はたちまち楽しいものに!立山のスキー場では、綿に包まれたコブシの花芽を見つけ、ノウサギ(写真)やリスの足跡を見つけました。ちなみに、立山の室堂(標高2450m!)では、5月半ばくらいまで雪遊びが可能です。

とは言ってももう3月。雪景色も、里に降りればいい加減うっとうしがられるようになりました。打ち合わせに出かけても「もう雪は勘弁してほしいよね」が挨拶です。

▶この冬は35年ぶりの積雪を記録。富山の街中でも1m超えで、道路が全く見えなくなりました。東京で使っていたブーツ類では太刀打ちできず、長靴で。このとき、Myスノーシューを本気で買おうかと思いました!

 

 

そして、寒い寒いと思っていても、雪は着実に雨に変わってきています。
雪が溶ければ、その下から顔を出すのがフキノトウ。皆さんはもう召し上がりましたか? 見かけると、思わず「待っていました!」と声をかけたくなります。たぶん全国より遅れていると思いますが、ここ富山でも、近くのJA販売所で栽培ものの県内産フキノトウを見つけました。ぷっくりとして立派なフキノトウです。5つ(70gほど)で130円。

 

 

◀ひとつ12~13gもあるぷっくりと立派なフキノトウが売られていました。

 

 

 

 

さっそく、1つをお昼ご飯にピザトースト風にして食べてみました。貴重な一房を熱湯でサッとゆでて、花蕾は刻んでみそとみりん少々で簡単にあえました。パンにシュレッダーチーズと、みそあえの花蕾をのせて、彩りと甘味の補強に赤パプリカを少々。香りのよいガクの部分は、パンが焼けた後でそのままトッピングにします。
この独特な苦味とえぐみがたまりません。ほんのひとなめしただけで、大根や白菜ばっかり食べてきた冬モードの舌が、一気に春になりました!舌から春になるって、ちょっといいですね。

▶フキノトウのピザトースト風。山菜特有の苦味えぐみがたまりません。

 

 

とはいえ、フキノトウの醍醐味はなんと言っても「自分で見つける」ことです。自分で見つけるには、歩かないといけません。今年は雪が多いために、いつもよりゆっくりとフキノトウが顔を出しているようです。市の中心部から車で20分の呉羽山や、八尾や立山など、散策する山はたくさんあります。重い腰を上げ、トレッキングシューズに履き替えて行ってこようかな。
ここでお目当ての野生のフキノトウが見つけられたらラッキーなのですが。自作のフキノトウみそを作れるくらい採れるといいな。

 

◀千葉にある実家では、毎年2月中旬に決まってフキノトウが出るポイント(ガレージの裏)があり、今年の芽吹きの様子を写真で送ってもらいました。温暖な土地なので、成長も早く、既にトウが立っています。

第1回 「毎日吹雪」の富山にも春が来た

2021/2/14 

東京から富山に移住して、改めて地方の食の豊かさや健康の大切さを学んでいます。富山暮らしで発見したこと、気がついたこと、クスッと笑えるネタになるようなことを徒然と語ります。

田原朋子(プロフィール)
子育てがひと段落したこともあり、30年間勤めた某公共放送系実用出版社を退社して富山県富山市にIターン。夫と猫と気楽なマンション暮らし。現在はフリーで、食と健康の編集企画・ライター業を営む。得意分野は実用もの。白井操先生には、テキストの編集や広告部での仕事でたくさんのご縁をいただいた。

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第1回 「毎日吹雪」の富山にも春が来た

2021年2月。例年よりも1日早く節分、立春を迎えましたが、ここ、北陸富山県はまだまだ雨と雪混じり。
今朝、耳鼻咽喉科に花粉症の薬をもらいに行く道すがら、FMとやまから流れてきたのは井上陽水さんの『氷の世界』でした。地元の人でもちょっとうんざりするほどの「毎日毎日……」(歌詞ご存知ですか?!)。笑ってしまいました。

富山県といえば、「海の幸」が豊富なイメージです。特に有名なのが氷見漁港で水揚げされる「寒ブリ」。代表的な冬の味覚です。
そして、もう一つの隠れた名産が、「ナガラモ」です。
人気のネバネバ海藻、「アカモク(ギバサとも言われます)」のことを、富山では「ナガラモ」と呼んでいて、氷見漁港では毎年生育状況を見ながら漁の解禁日を発表しています。2021年は生育が遅かったようで、1月25日でした。そしてナガラモ漁の期間がなんと、、、2月13日までというではありませんか!これは大変です。すぐに買います。
地元スーパーでは目玉商品として、ゆでる前のナガラモが300gパック280円くらいで売られていました。

ナガラモは、長い茎から等間隔で葉っぱが伸びています。思いのほか形がかわいい。

白状します。生のナガラモを買うのも初めて。下処理も初めてでした。
とにかく、汚れを洗ったらお湯を沸かして下処理です。締め切った部屋には磯の香りが充満し、これはとてもいい匂いとは言い難く、換気。熱湯が触れるところから、みるみる褐色が緑色に変わります。(写真を撮ってもビフォーアフターなので、動画で)。色が変わったら、冷たい水にとってしめました。

熱湯に触れた瞬間、パッと色が変わります。こういう「変化」が、料理のいちばんの楽しみですよね。

売り場で食べ方を伺ったところ、「天ぷらでもおいしいのよ」「刻んで味噌汁に入れても大丈夫」などと言われましたが、今回はパス。よーく叩いて、定番のネバネバ丼用にするのと、そのまま酢醤油で、と2タイプ試してみました。
ゆでたてのナガラモは、思いのほかサクサクとした食感で、ネバネバも優しく、喉ごしはつるりとしたものでした。新鮮だからか、ネバネバ成分が多い気がします。形そのままいただく方は、サラダ感覚でいけます。

基本的にワカメやヒジキなどの海藻は、春に旬を迎えると言われていますが、ナガラモ、つまりアカモクの旬は地域によってかなり違っているようです。たとえば神奈川県の逗子海岸では3月ごろ、温暖な和歌山県では、4〜5月が旬のようです。
冬と春のはざまで味わうナガラモ。ネバネバ成分が、冬の毒気を流してくれそうです。
さらにもう一つ。ナガラモに含まれるネバネバ成分は、抗アレルギー効果や抗酸化作用があると注目されています。
花粉症の私には、ちょっと嬉しい研究成果です。

お約束のネバネバ丼。つるつるとろとろサラサラシャキシャキでした。