レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操発スタジオ*トピックス

70歳の小さな幸せづくり

2019/6/29 

30年通い続けてくれている教室メンバーの一人が還暦を迎えました。ふふ、なんだか嬉しい・・・。私の歳に近づいてきてくれているような気がします。みんなは「ちがう、ちがう」というかも知れませんが、60歳と70歳はそう考え方は変わらないような気がしています。体が元気であれば、というか少々どこか具合が悪くても動こうとする心が体についてきてくれていれば、楽しいことがたくさんみつかります。誘われてばっかりより、時には誘ってみる方にまわると見えなかったものがみえてくるような気がします。
「めんどうくさい」・・・と思うことが増えてきたら、何か起ころうとしている自分の体の変化に気をつけて・・・って合図です。60~70は50歳のおおきな荷物を片付ける必死で時間内に料理を仕上げる・・・「こんなこといつまで出来るかしら」と心の中で呟きながら気がついたら「出来たぁ~!」と小さな幸せに浸っている上機嫌な時間。これ70歳を過ぎたら感じるようになりました。そんな小さな幸せ作りが楽しい時間を創るのかもしれませんよ。
そして楽しいことを思い出すのは家族や友人、まわりの人たちの笑顔。何かを食べている時と重なります。これって私だけかしら・・・。
この日はみ~んなといつもの料理教室を出て、香港スタイルの飲茶と点心を食べに行きました。何年か前、行った旅行を思い出しながら、食べて笑って・・・。
この春出来上がったお酒の本の酒蔵のメンバーも何度か会ってご飯を食べて飲んでいる間にみんな親しくなりました。ご飯は人の心をとっても早く近づけます。その人の一番良いところと出会えたら幸せです。楽しい時を作るエネルギーはやっぱり昨日食べたご飯かな。   白井 操

 

山田錦と出会って、酒蔵の方々と出会って

2019/4/17 

およそ3年前、「食から学ぶ震災の記録」という本を作っている時、神戸の中心部が地震ですっかり機能を失ってしまった日、西区、北区から農家の女性たちがすぐにたくさんのおにぎりを作って、連日山を越え届けてくださったという話を聞かせていただき、そのすばらしいパワーに胸を打たれました。その中に酒米・山田錦を作っているというご夫婦がおられたのです。今まで知らなかった兵庫県の日本酒のことに興味を持ったきっかけでした。
あの震災は灘の酒蔵にも大きな打撃を与えました。たくさんの命と蔵の歴史がなくなりました。そして日本酒は今新たな時代を迎えようとしています。
本を作るため農家の方のお話を伺い、酒米・山田錦がいかにすごい力を持っているかを知りました。県の方がその種をどんな思いで保存され、受け継がれているか。まさかの「一子相伝」と伺い、その勤務の姿に頭の下がる思いでした。
いよいよ撮影が始まったのは暑い盛り。やがて秋が過ぎ、最後は寒さが厳しくなる頃までの長丁場でした。そして再び春、桜の中でこの原稿を書いています。足掛け3年が経ちました。30もの蔵のオーナーが、お顔写真とともにインタビューに応じてくださった本は今までなかったそうです。
この本を通して、何も知らなかった私が日本酒を学ばせていただいた道のりは、日本の文化や昔の人の生き方に触れ、心耕す学びの日々でもありました。
ワインにはマリアージュがむずかしいとされる食材のほとんどを日本酒はぴったり受け入れてくれます。酸味や苦みもおもしろいように・・・。世界のソムリエさん達も、日本酒を勉強しています。近頃は山田錦の田んぼにドローンが飛び、海外から大勢の人が見学にきています。新しい時代が来たのです。
日本の食卓は豊かです。「食は人を近づける」といつも信じている私。どうぞこの本が次の世代の方たちの役に立ってくれることを願います。
この本は近い将来、英・仏語の翻訳版も出版されることになっています。
感謝を込めて
白井 操

「兵庫の酒がつなぐ30の物語~この土地に米と酒あり~」は4月19日に発売予定です。
詳しくはこちらから>>

 

ふたつのうれしい

2019/1/1 

前回このエッセイでもこうや豆腐の新しい食べ方提案をさせていただきました。よくテレビに出ておられるおひげのお医者さん鎌田先生のメッセージや、メディアでこうや豆腐が度々取り上げられたこともあり、一時は生産が追いつかず店によっては品切れが出たとか・・・。なんと、うれしいびっくり。これからも体にもお財布にもやさしいこうや豆腐をもっと身近なものにしたいですね。
それからもうひとつ、去年の夏からひたすらに準備してきた本が春に出る予定です。何百年と続いてきた日本酒の30の蔵元へのインタビューや兵庫県が誇る酒米・山田錦の特長を伝えています。山田錦は今海外からも注目されています。

大きい蔵、小さい蔵を時間をかけて一軒ずつ訪ねました。取材のお約束の日にその酒蔵が火事真っ只中という大変な日もありました。先日その蔵元から取材OKの連絡をいただき、再会に涙し、笑顔で新しいお酒の出荷を喜び、二人でカメラにおさまりました。
どの蔵のご当主もまずは地元を大切に、地域への貢献を心におきながら、酒造りを伝えてこられたと感じました。さまざまな蔵元のご当主の思いがこもった言葉を、直接伺えるはじめての本です。
新しい年も笑顔が一杯の食卓でありますように・・・。感謝を込めて。
白井 操

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