レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

ムッシュ・フルーリ花探検 第16話 デルフィニウム

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと春の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。
(新型コロナウィルス感染防止のため4月14日~5月6日まで臨時休園)
『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
① 4/18(土)②5/16(土)③6/27(土)
(①10:00~、②③13:30~。ご参加には予約が必要です。)
*①はムッシュ・フルーリ園長の園内ガイドツアーです。
*予定は変更になる場合がございます。
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)
【3月20日(金・祝)~4月30日(火) チューリップまつり2020開催中!!】

第16話 デルフィニウム
 最近のフラワーセンターでは、春の代名詞ともいえる花壇のチューリップが4月20日頃には終盤を迎え、ゴールデンウィークには見る影もなくなっているんだ。今回は、春の主役のチューリップが終わるころに、温室前の中央花壇でひときわ目を引くデルフィニウムについて話をしようかな。

中央花壇に植栽されたデルフィニウム
(バックの背の高いのがエラータム系の品種、手前の背の低いのが」シネンシス系の品種)

アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、ゼラニウム、デルフィニウム。っん? はるか昔に化学の授業で習った元素の周期表に出てくる名前かな? ってなことはなくて、デルフィニウムは植物の学名で、元素の名前も植物の学名も同じラテン語だから、語感が似ているだけなんだ。

デルフィニウムって植物は、ヨーロッパからアジア、北アメリカなどの高冷地や山岳地帯に約300種ほどが分布していて、ほとんどが多年草なんだ。和名はオオヒエンソウって言うんだけど、みんなはほとんど聞いたことがないだろう? デルフィニウムの方がまだ知名度が高いようだね。夏の涼しいヨーロッパでは古くから園芸植物として庭園によく植えられているんだけど、日本ではなかなか普及しないんだな。その一番の理由は、暑さに弱いってこと。さっきも言ったように、野生種は高山地帯などに自生しているので、寒さにはめっぽう強いんだけど、暑さにはからっきし弱いんだよ。特に日本のような高温多湿には耐えられなくて、梅雨の頃になると弱ってきて、夏には枯れてしまうんだ。だから、フラワーセンターでも、一年草として扱っていて、花が終わるとその株は処分して、毎年秋に種を播くようにしているんだぞ。

さて、デルフィニウムの園芸品種は、主に、デルフィニウム・エラータムというヨーロッパの高山地帯に自生する野生種から改良されたエラータム系と呼ばれる品種と、中国北部などに自生するデルフィニウム・グランディフロルムをもとに改良されたシネンシス系と呼ばれる品種があるんだ。それに最近では、エラータム系とシネンシス系を交配して作られたベラドンナ系っていう品種もあるんだぞ。

エラータム系の品種

エラータム系の品種の特徴は、背丈が1~2メートルにもなって、長さが数十センチにもなる豪華な花穂が特徴で、しかもブルー系の花色が多いので、花壇のバックに植えるとすごく映えるんだ。一方、シネンシス系の品種は草丈が低くて一重のシンプルな花をスプレー状にまばらにつけて、エラータム系の品種とは全く違った雰囲気なんだ。そして両者の交雑種であるベラドンナ系の品種は、その中間的な感じだな。

シネンシス系の品種          ベラドンナ系の品種

ところで、デルフィニウムの花は非常に豪華できれいな花なんだけど、そのきれいで鮮やかな色の花弁のように見えるものは、花弁ではなくて実はガクだってこと、知ってた? ホントの花弁は花の中心にある白いまたは黒い小さな花びら状のものなんだ。デルフィニウムは、分類上キンポウゲ科に属しているんだけど、このキンポウゲ科の植物の花はこのタイプが多くて、アネモネ、ラナンキュラス、クレマチス、クリスマスローズなどなど。 みんなが花弁だと思っているものは、すべてガク弁なんだ。アネモネやクレマチスは花弁は退化してなくなっているんだ。 また、クリスマスローズは、色のついたガク弁と雄しべの間に小さな筒状のものがあるだろう? それが花弁なんだ。どうだい、また一つ賢くなったねえ。キンポウゲ科の花が咲いていたら、よ~く観察してご覧。色のついた花びら状のガク弁の下側には、何も付いてはいないからね。(花弁の下側にはガク弁が付いてるけど、ガク弁の後ろ側には何も付いてないよ)

青いのはガク弁、白いのが花弁

 

「デルフィニウム」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターHPはこちら>

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

 

 

ムッシュ・フルーリ花探検 第15話 桜(サクラ)

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと春の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。
『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
① 3/21(土)* ②4/18(土)③5/16(土)
(① ③13:30~、②10:00~。ご参加には予約が必要です。)
(②はムッシュ・フルーリ園長の園内ガイドツアーです。)
 *3/21(土)は中止となりました。
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)
【3月20日(金・祝)~4月30日(火) チューリップまつり2020開催中!!】

第15話 桜(サクラ)
今年は異常なほどの暖冬で、フラワーセンターの花壇は、1月の半ば頃から例年の3月のような様相。種類によっては、ひと月も早く咲き始めたものもあるんだ。今年のチューリップはどうなるんだろうか?

フラワーセンターの春と言えば、何といってもチューリップだけれど、その陰に隠れてしまっているのが桜たちなんだ。園内には40種類ほどの桜が植えられており、毎年春一番の3月初め頃に咲き始めるのは河津桜(カワヅザクラ)なんだけど、今年は2月半ばには咲き始めたんだぞ。

ところで、「サクラ」という名前の語源を知っているかい? 実のところ、いくつもの説があってはっきりとは判ってないんだってさ。でもよく耳にするのは、古事記や日本書紀にも登場し、さくらの霊ともいわれる、木花開耶姫(このはなさくやひめ)を由来とする説だよね。この姫が霞に乗って、富士の山の上空から桜の種を播いたといわれてるんだ。

さて、園内の桜で、何といっても圧巻なのは、最もたくさん植えられている「関山(カンザン)」という園芸品種なんだ。この品種は、八重桜では最もポピュラーな品種で、ソメイヨシノが葉桜になる頃、4月中下旬あたりから濃いピンクのボリュームのある花が咲き始めるんだ。四季の花壇の藤棚の後ろ側、飯盛山の山すそにあるサクラ園にたくさん植わっていて、ソメイヨシノとは違って非常に豪華な花で、しかもその下でお花見もできるから、ソメイヨシノに見飽きたら、是非フラワーセンターに見に来てほしいもんだな。

「関山(カンザン)」              「関山」の樹形

日本には野生のサクラが15種あるとされているんだけど、関西でよく知られているのは、ヤマザクラくらいかな。園内の飯盛山にもたくさん自生しているぞ。ソメイヨシノより幾分早く赤茶色の新芽と同時に白い花を咲かせるので、遠目には薄いピンクの花に見えるんだ。奈良の吉野山の桜はこのヤマザクラなんだぞ。また、典型的な里山風景で有名な、兵庫県川西市の猪名川沿いには、エドヒガンの群生地あり、開花時期には多くの見物客が訪れるんだってさ。

ヤマザクラ(花は白く新芽が赤茶色)  遠目で見るとピンク色に見えるヤマザクラ

みんなは桜と言えば、桜色というくらいだからピンク色の花だと思っているだろうけど、ヤマザクラやオオシマザクラのように、野生種でも白色の花もあるんだぞ。しかも園芸品種には緑色や黄色い花を咲かせる桜もあるんだから驚きだろう? 咲き始めは緑色で次第に黄色くなって、最後には花の中心が赤く変化する「御衣黄(ギョイコウ)」、ちょっとくすんだ黄色の花をつける「鬱金(ウコン)」っていう園芸品種も、フラワーセンターに来れば見ることができるぞ!

「御衣黄(ギョイコウ)」の咲き始め     「御衣黄」の咲き終わり

もう一つ、ちょっと珍しい桜を紹介しようか。それは「普賢象(フゲンゾウ)」っていう名前の園芸品種なんだけど、この品種の面白いところは、本来1本であるはずの雌しべが2本あって、しかもその形が小さな葉のようなんだ。もちろん色も白色ではなく緑色で、その雌しべの縁には本当の葉と同じように鋸歯(葉の縁にあるギザギザの切れ込み)まであるんだってんだから驚きさ。この特徴も遠目に見ていてはわからないから、フラワーセンタに来て、桜の花を一度近くでじっくりと観察してみることだな。

「鬱金(ウコン)」           「普賢像(フゲンゾウ)」の緑色の雌しべ

操の「へぇ~!」
めずらしい桜の花にうっとり!実際に見上げるとさぞかし美しいことでしょう。疑似体験で想像をふくらますより、実際に花をみて、花を感じて感動するのが一番だと思っています。桜の花はなおのこと。昔の人もそのことをよく分かっていて、春になると桜の木の下で花見をしてきたんでしょうね。今年は早く咲きそう。フラワーセンターでは一味違うお花見が楽しめそうですね。

「さくら(桜)」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターHPはこちら>

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

ムッシュ・フルーリ花探検 第14話 キンカチャ(金花茶)

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと冬の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。
(参加の皆様には会場で操さんのレシピプレゼントもありますよ。)
『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
2/22(土)、3/21(土)
(すべて13:30~。ご参加には予約が必要です。)
●「予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第14話 キンカチャ(金花茶)

今年の冬は異常に暖かくて、この原稿を書いている1月23日現在でも、フラワーセンターの最低気温が氷点下になっていないんだよ。フラワーセンターのある兵庫県加西市は、内陸型気候なので、冬場は結構冷え込みがきつくて、去年の冬は-8℃まで下がったくらいなんだ。でもこの冬はいまだに0℃止まりで、日中も春のような陽気が続いているので、花壇のビオラや菜の花、ストックはもうすでに満開状態。

もちろん温室内は冬中百花繚乱なんだけど、今回はそんな中でもフラワーホールの片隅に人知れず咲いている「キンカチャ」を紹介しようかな。ところで、みんなは「キンカチャ」という名前は聞いたことがあるかい? 「キンカチャ」とは「金花茶」という字を書いて、「金色の花が咲くお茶の木」と言いたいところじゃが、これは中国名をそのまま我が国に持ってきているので、「黄金色の花が咲く椿」という意味の名前なんだな。中国ではツバキを「山茶」と書き、ツバキの仲間の名前はほとんど○○茶と名付けられているんだ。因みに、中国で椿という字はチャンチンという樹木のことを指しているので、間違わないようにな。

フラワーホールに植栽されているキンカチャとオオバキンカチャ

日本のツバキと言えば、もちろん真っ赤な花の咲く「ヤブツバキ」で、北海道を除く至る所の山々で見られるよな。江戸時代には、椿の園芸品種が数多く作出されて、大名から庶民に至るまで、一大ブームを起こしたんだってさ。でも、花色は赤、白それにピンクのみで、もちろん黄色いツバキはなかったよな。
 キンカチャ

ツバキの仲間は、アジアの東南部に250種類ほど自生していて、中国南部を中心に、西はネパール、南はインドネシアの島々、そして北は日本の青森県までの範囲に分布しているんだぞ。そのうち、日本には、ヤブツバキ、ユキツバキ、それにサザンカのたった3種類しか自生してないんだ。

1965年に、中国南部の広西荘族自治区の南寧市近郊で発見された「キンカチャ」が世界的に報告されたんだけど、当時の中国は外国人による調査はもちろんのこと、観光旅行さえも認められていなかったので、実際に我々日本人が黄色いツバキを目にしたのは、それから14年もあとの1979年以降だったんだな。それ以降、中国の南部やベトナムから次々と黄色いツバキが報告されて、今では黄色い花をつけるツバキは、中国とベトナムを合わせて50種類も報告されているんだ。
 オオバキンカチャ

さて、その「キンカチャ」は、黄色い花をつけるツバキの中でも、光沢のある濃い黄色の花をつけて観賞価値の高いことから、黄花ツバキの育種親として利用されるのは、もっぱらこの「キンカチャ」なんだ。
「キンカチャ」を使った黄花ツバキの育種が始められてから、もうかれこれ40年ほどが経ち、すでに30種類以上の品種が育成されているんだけど、どれを取ってみても薄い黄色やクリーム色の域を出ず、真の黄色い花びらを持った黄花ツバキは育成できていなんだ。みんなが夢見る黄色い椿の出現にはまだしばらく時間がかかりそうだな。

黄花つばき「かぎろい」(クリーム色の花)
※フラワーセンターには植栽されていません

操の「へぇ~!」
キンカチャ、かわいい花ですね。初めて見ました。黄色い椿ってめずらしいですね。
梅でいう蝋梅に近い感じなのかな。そういえば「満月蝋梅」ってひょろっとした苗木が1万円という高値で売られていてびっくりしたことを思いだしました。
椿の世界もすごいですね。ヨーロッパの大きな八重の椿、カメリアはなんともゴージャス。京都の薬草園でお寺から預かっているというすばらしい老木の椿を見せていただいたこともありました。私が好きな椿は侘助。小ぶりのうす~いピンクの花が好きなんです。

「キンカチャ(金花茶)」を見に行こう!
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