レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第40話 ユリノキ(チューリップツリー)

「ムッシュ・フルーリの花探検 in フラワーセンター」
吾輩、ムッシュ・フルーリは、実は、 何を隠そう兵庫県立フラワーセンターという植物園の園長なんだ! 今回からは、我がフラワーセンターが誇る4,500種類にも及ぶ膨大な植物コレクションの中から、 その季節ごとに咲くとっておきの一品を紹介していくぞ!  栽培が難しくて国内では滅多に見ることのできない花、 形が奇妙で花らしくない花、普段何気なく目にしているけど、実はこんな変わった性質がある花、 そして世界中でフラワーセンターでしか見ることのできない植物などなど、次々と興味深い花たちを紹介していくから、楽しみにな!

第40話 ユリノキ(チューリップツリー)

みんなはユリノキって言う名前の樹木を知っているかなぁ? 都市部の街路樹によく使われているんだけど、意外と知っている人は少ないんだよね。
ということで、今回はフラワーセンターの芝生広場にすっくと立っている大木、ユリノキの話をしようか。

◀芝生広場にすっくと立っているユリノキの自然樹形(長卵形)

ユリノキは、北米東部原産のモクレン科に属する落葉高木で、高さ45メートルにも達することもある大きな木なんだ。フラワーセンターには、開園当初(昭和51年)に植えられた数本のユリノキがあるけど、高さは20メートル~30メートルほどかな。中でも芝生広場に植えられたものは(このユリノキの葉は斑入り)、周りに他の樹木がないため、だれにも邪魔されず、ユリノキ本来の樹形を見ることができるんだ。ユリノキの樹形は長卵形で、卵を上下に伸ばしたような形をしていて、自然に整った形に育つんだよ。フラワーセンターのユリノキもほとんど剪定をしていなくてもきれいな長卵形に育っているよね。

ユリノキの特徴はその花と葉にあるんだ。花は5~6月に枝先に咲くんだけど、フラワーセンターほどの大木になると、その花を間近に見ることはできないのが玉に瑕(だから余計に知っている人が少ないんだけどね)。でも、写真に見るように、淡い黄緑色の花弁の付け根にオレンジ色のブロッチが入ってなかなか奇麗だろう? しかもその形がチューリップの花に似ているので、英語でチューリップツリー(Tulip Tree)と呼ばれているんだ。そのうえ、ユリノキの学名は、Liriodendron tulipifera って言うんだけど、属名のLiriodendronは、ラテン語のlirion ユリ+dendron木なので、そのまま日本語に訳してユリノキ。種小名のtulipiferaは、同じくラテン語で「チューリップ状の花を生じる」って言う意味なんだ。だから英語ではTulip Treeって言うんだよ。じっくりと花を観察してみてごらん!
   
▲ユリノキの花(真横から見るとチューリップに似ている)

さて、ユリノキの葉は非常に特徴的な面白い形をしているんだ。ユリノキの葉を葉柄を上にして見ると、何かの形に似ているだろう? この形は若い人にはわからないかもね。じつは、袢纏(はんてん)という衣類の形にそっくりなんだよ。袢纏とは、羽織に似ているけど、脇にマチがなくて丈が短い上着なんだ。そうだ、「鬼滅の刃」の主人公の竈門丹治郎が羽織っているものといえばわかるかなぁ? で、その袢纏に葉の形が似ているもんだから、ハンテンボク(袢纏木)という別名もあるんだぞ。でも、若い人にはTシャツの方がわかりやすいかもね。
 
▲ユリノキの葉(形が半纏に似ていることからハンテンボクの別名がある)

春には袢纏に似た葉を芽出し、晩春から初夏にかけてチューリップに似た可愛らしい花を付け、晩秋にはその葉も黄色く色づき、初冬には散っていく。
是非、フラワーセンターのユリノキの一年を楽しんでみてごらん!

「ユリノキ(チューリップツリー」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターHPはこちら>

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第39話 クレマチス・アルマンディと仙人草

第39話 クレマチス・アルマンディと仙人草

クレマチスといえば、早くて晩春から、多くの品種は初夏に大きなブルーや紫系の花を付ける蔓性の植物として有名だよね。テッセンとかカザグルマなんて呼ばれることもあるよね。 でも、最近は3月半ばともなると、園芸店の店先に、早くも行灯(あんどん)仕立てにした鉢植えが出回り始めるけど、それはハウス内で促成栽培したものだから、鉢植えを買って帰っても、寒い戸外に置かないようにしないとだめだぞ。気温が下がって遅霜にでも当たってしまうと枯れてしまうこともあるから注意するようにな。
一般的なクレマチスの品種は、落葉性のつる植物で、ほとんど初夏の花だって思って間違いはないんだけど、野生のクレマチスの中には、早春に咲くもの、真夏に咲くものや真冬に咲くもの、それに常緑のものだってあるんだぞ!

そこで今回は、まず早春にいち早く、甘い香りを漂わせながら、真白な花を数多く咲かせるクレマチス・アルマンディという種類を紹介しよう。フラワーセンターには、なぜかクレマチスはこの種類だけしか植栽されていないんだけど、その理由はさておき、3月の半ばにもなると、ノウゼンカズラ棚の西側にこんもりと茂っているアルマンディは花を咲かせ始め、ほとんどの葉の付け根に数輪ずつの真っ白な花を付けるんだよ。
◀真っ白に咲き乱れるクレマチス・アルマンディ▶

4月上旬にもなると、写真の様に株全体が雪を被ったように真っ白に染まるんだ。暑さ寒さに強く、生長が早く、しかも常緑で、桜(ソメイヨシノ)が咲く前に香りのよい真っ白な花をたくさん咲かせてくれるアルマンディは、垣根やフェンスに絡ませると最高だよ。

次に紹介するのは、仙人草と呼ばれている夏咲きのクレマチスなんだ。仙人草は、日本の野山に自生するクレマチスで、これもアルマンディと同じように生長が早く、丈夫で育てやすいんだけど、あんまり知られていなんだよね。仙人草は、園内の飯盛山に自然に生えていて、毎年8月下旬になるとアルマンディと同じように株全体を真っ白な花で覆ってくれるんだよ。一輪の花は、アルマンディよりは小さくて3センチほどなんだけど、アルマンディよりも花数が多くて真夏に雪が積もったように見えるんだ。
◀晩夏に雪が積もったように真っ白に咲く仙人草▲
早春には、アルマンディの花を、晩夏には仙人草の花を、フラワーセンターの園内で探してみてごらん!

 

 

「クレマチス・アルマンディと仙人草」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターHPはこちら>

 

 

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第38話 水芭蕉

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと春の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。大人気のセミナーです。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。

『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
2022/3/19(土)
(13:30~15:00 ご参加には予約が必要です。)
*予定は変更になる場合がございます。
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第38話 水芭蕉

🎵 夏が来れば思い出す 遥かな尾瀬 遠い空・・・
・・・水芭蕉の花が咲いている水のほとり・・・🎵

ミズバショウの花▶

みんなもよく知っている「夏の思い出」っていう歌だね。夏の風景を歌っているらしいけど、実際には尾瀬沼でミズバショウが咲くのは5月頃らしいよ。もちろんフラワーセンターでは、暖かい年なら3月下旬頃から4月いっぱいまで白い花を咲かせているよ。

えっ、フラワーセンターにミズバショウが咲いてるの??? っていう声が聞こえてきそうだけど、ちゃんとある場所では毎年咲いているんだよ。
◀フラワーセンターで毎年咲くミズバショウ

 

芝生広場と友愛の道との間に小さな池、というか湿地があるんだけど、そこに10数株植えられているんだ。そこはあまり水の流れがないので、生育はそれほど芳しくはないけど、毎年律義に花を咲かせてくれるんだぞ。知らなかった人はこの春に探してみてごらん。

 

さて、誰でもその名をよく知っているミズバショウだけれど、その実態を知っている人は少ないんだよな。 そこで、今回はミズバショウについて蘊蓄を述べてみようかな。

ミズバショウはサトイモ科に属する多年草で、日本では本州以北と北海道、それにサハリン、千島列島、シベリアなどの寒冷地の湿地帯に生育する植物なんだ。ミズバショウっていう名前なんだけど、これは花後に大きく育ち、時には1mにもなる葉が、芭蕉布の材料として利用されているイトバショウの葉に似ているからで、水辺に生えるバショウのような植物っていうことで、ミズバショウと名付けられたんだな。
花後に大きく生長した葉▶

ところで、みんなが好きなミズバショウの白い花なんだけど、白い部分は花弁じゃあないことは知っているよな? ん? どうも知っている人は少ないようだね。この白い部分は苞(ほう)というもので、蕾や花を保護するために、そして花弁の代わりをするために葉が変化したものなんだ。ミズバショウの白い苞の中央部分に立っている円柱状のものが小さな花がたくさん集まった花序というもので、それぞれの花は小さくて目立たないものだから、花粉を媒介してくれる昆虫たちに見つけてもらいやすくするために、苞が大きく白くなっているんだぞ。

◀小さな花が集まっている肉穂花序

 

ミズバショウの属するサトイモ科の植物は、ほとんどがこのような花の形をしていて、ちょうど仏像の後ろに立っている炎のような形をした光背に見立てて、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼んでいるんだ。例えば、アンスリウムの赤い部分、カラーの白い部分なんかがそれにあたるんだ。他にも、スパティフィラムやマムシグサ、ウラシマソウなんかも同じだよね。これらのサトイモ科の花を見る機会があれば、よ~く観察してご覧!!
白く大きな仏炎苞▶

「水芭蕉」を見に行こう!
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