レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第5話サラセニア【フルーリと花探検!参加募集中♪】

「ムッシュ・フルーリの花探検 in フラワーセンター」
吾輩、ムッシュ・フルーリは、実は、 何を隠そう兵庫県立フラワーセンターという植物園の園長なんだ! 今回からは、我がフラワーセンターが誇る4,500種類にも及ぶ膨大な植物コレクションの中から、 その季節ごとに咲くとっておきの一品を紹介していくぞ!  栽培が難しくて国内では滅多に見ることのできない花、 形が奇妙で花らしくない花、普段何気なく目にしているけど、実はこんな変わった性質がある花、 そして世界中でフラワーセンターでしか見ることのできない植物などなど、次々と興味深い花たちを紹介していくから、楽しみにな!

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと一緒に花探検しよう!
「春のうきうきフェア」開催中の兵庫県立フラワーセンターでは、
春の花が咲き誇る園内に、ムッシュ・フルーリ園長が登場して
「へぇ~!」と楽しめるイベントを開催!!
青空を泳ぐ鯉のぼりとムッシュ・フルーリに会いに行きませんか?
(参加の皆様には会場で操さんのレシピをプレゼントします。)
➀5/18(土)13:30~15:00 ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学
②6/22(土)13:30~15:00 ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学
※参加ご希望の方はご予約をお願いします。予約・お問い合わせは 
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第5話 サラセニア
世間は10連休という超ゴールデンウィークの真っ盛り。フラワーセンターでは、春の一大イベント「チューリップまつり2019」も終わり、花壇の植物も夏模様に衣替えの時期が来てるんだ。
さて、そんな中、温室に囲まれた中庭では、サラセニアの花が最盛期を迎えつつあるんだ。あれっ!サラセニアって何?って声があちこちから聞こえてくるぞ。わかったよ、じゃあ、今日はサラセニアについて話すとするか。

サラセニアっていう植物は、食虫植物の一種で、瓶子体(へいしたい)と呼ばれる筒状の葉に虫を落とし込んで捕らえ、消化酵素やバクテリアなどにより捕らえた虫を分解し、養分を吸収するんだ。和名はヘイシソウ(瓶子草)っていうんだけど、筒状の葉が酒器として使われている瓶子に形が似ているから名付けられたのさ。だから、その筒状の葉を瓶子体って呼ぶのさ。
えっ! 瓶子が分からないって? 瓶子っていうのは、神事で使われるお神酒を入れている酒器のことさ。因みに英名はピッチャープラント(pitcher plant)で、みんなが居酒屋で大量のビールを注文した時に使われる容器、そう、ピッチャーに似ているからそう呼ばれているんだ。どっちにしても、お酒を入れる容器だね!
 神事に使われる瓶子

サラセニアの仲間は、北アメリカ東岸の亜熱帯地域からカナダにまで分布していて、8種類ほどが知られているんだ。日当たりのよい沼地や湿地帯を好み、寒さや暑さにも強いため、日本でも一年中戸外で栽培できるんだ。でも、常に直射日光と水を欲しがるので、日当たりのよい場所で、腰水(鉢を深さ3~5センチ程度の深さの水につけて管理する)をしてやらないといけないけどね。ただし、真夏の暑い時期に水がお湯にならないように気を付けるんだぞ。大変丈夫で栽培しやすいけど、乾燥にはめっぽう弱いので絶対に水を切らさないようにな。それともう一つの注意してほしいのは、肥料はやらないこと。もともと非常にやせた土地に生育しているので、無肥料で十分育つのさ。分かったかな?
 瓶子体

                                                  第2話のネペンテスの時にも説明したけど、サラセニアもネペンテスと同じように、落とし込み式の捕虫方式で、甘い香りと蜜で昆虫たちを誘い込み、瓶子体のふたの下あたりまで来たら、もうほとんど捕まったも同然。ふたの裏や瓶子体の内側には下向きに細かい毛がたくさん生えており、二度と登ってこられないようになっている。なぜか、翅のあるアブやハチでさえ、落ちたら最後、まず出てこれないんだから凄い仕組みなんだね。
 瓶子体の上部(虫が落ち込むところ)
わしも瓶子体の中に落ちて、翅をブンブンと鳴らせているアブやハチを幾度となく見ているのさ。瓶子体の底には、たんぱく質を分解する消化液が溜まっていて、捕らえられた昆虫たちは、じわりじわりと体を溶かされていくんだ。そしてサラセニアは、瓶子体の内側から消化液に溶け出した養分を吸収して、栄養分として取り込んでいくのさ。
とはいえ、みんなが自宅で栽培するときには、わざわざ虫を捕まえて瓶子体の中に入れなくてもいいんだぞ。捕虫による栄養の摂取は、あくまでも補助的なもので、全く虫が捕らえられなくても弱ったりはしないから安心しな。すべて自然に任せておけば大丈夫。放っておいてもいつの間にか虫がはまり込んでるさ。

 

さて、このサラセニアは、花がちょっと変わった形をしていて、色がきれいなので、観賞価値も高いんだ。蕾のときはまん丸の球状で、株の根元から茎が立ち上がってきて、やがその茎の先端が曲がって蕾は下向きになるんだ。顎弁と花弁が5枚ずつあって、それに雌蕊と雄蕊があるんだけど、この雌蕊が不思議な形をしているんだ。雌蕊の先端は五つに分かれて反り返り、その間に水かきのような膜があるので、ちょうど5本の骨の雨傘を上下さかさまにしたような形になるんだ。
 花(赤く垂れ下がっているのが花弁)
そして、その骨と骨の間から5枚の花弁が垂れ下がっているのさ。どうだい、変わった形をしているだろう。綺麗な花の色に誘われてやってきたハチは、雨傘のような雌蕊と花弁の間から中に入り込んで、花粉を体中に付けてしまう。そして、花から出ようとするときに雨傘の骨の先端にある柱頭にその花粉が付着して受粉できるっていう塩梅さ。これも、昆虫に花粉を媒介してもらうために、長い時間をかけて作り上げた芸術作品だね。是非、フラワーセンターに来て、じっくり観察してご覧。植物たちの不思議に感心すること間違いなし!!
 全体の草姿

操の「へぇ~!」
へぇ~。私は基本、可憐な花が好きなので、「すご~い!」「かまれそう~!」という花には怖気づいてしまうんだけれど、どんな花にも生きようとする力があって、いろんな花の形になるんですね、フルーリさん!植物から学ぶことはたくさんありますね。
「サラセニア」を観に行こう!!
兵庫県立フラワーセンターのHPはこちら>

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

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