レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2016.9.23 韓国旬彩料理 妻家房 黄命相さん

2016/9/30 

ゲストは韓国料理「妻家房」を全国に展開する有限会社永明の取締役 黄命相(ファン ミュンサン)さん。26年前、経済学を学ぶため日本の大学へ。その後伯父様と共にお弁当屋さんから始め、ここまでお店を大きくしてこられました。「ひたすら仕事に励んできました。色んなことがありましたが質のいいものを作ることには自負があります。」ご自分で料理も作るとおっしゃる黄さん。
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ポッサムキムチ、チヂミ、チャプチェの3品を試食にご用意くださいました。「ポッサムとは韓国語で包むという意味。白菜の葉にイカ・タコ・栗・銀杏・リンゴなど海山の幸を包んだ特別なもの。王様のキムチとも呼ばれています」「西宮阪急の妻家房でも予約すれば買えるんですよね。梅田阪急の妻家房で頂いたチヂミはどこのものよりきれいな仕上がりでおいしかったです」と白井。「チヂミは昔、ごはんを炊くおかまの金属のフタで焼いていたんですよ。」「チャプチェは春雨?」「韓国のものはサツマイモで作るので歯ごたえがしっかりしています。手間がかかるので、誕生日などお祝いの時にごちそうとして食べられます」韓国料理というと唐辛子と思われがちですが、ポッサムキムチも辛さは控えめ、チヂミ・チャプチェ・プルコギなど唐辛子を使わない辛くないものもたくさん。だしは主に野菜と煮干しが使われます。調理で混ぜるのには主に手を使って。それには愛情を手に込める、体温がほどよく仕上げてくれるという意味があるのだそうです。
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韓流のドラマやアイドルの流行で身近になった韓国。お客様からも質問が次々と。「韓国の女優さんはとても肌がきれい。何を食べておられるの?」「韓国料理はとにかく野菜をたくさん食べます。韓国で普通の食生活をしていればビタミンが十分摂れていると言われるほど。特定の食材をたくさんというのではなくバランスよく食べることが大切。和食でも同じじゃないかな。」「韓国で食事をするとキムチとかサンチュがおかわり自由なんですよね」と白井。客席からは次々と韓流ドラマの質問が続きます「よくわかめスープがでてきますが実際もそうなんですか」「よく食べます。体にもいいですし。昔は子供を産んだお母さんは母乳に影響がないようにと1か月ぐらいは味をつけないわかめスープだけを食べていたんですよ。」「ラーメンを鍋のまま食べたり、大きなボールでいろんなおかずを混ぜてそれをみんなでつついたりしているシーンをよく見かけますが」「うーん。普通はどんぶりに移して食べますよ。子供の頃、インスタントラーメンはまだ高価でごちそうだったんですが、韓国は寒いので冷めないようにと温かい鍋のフタに移して食べたりしました。韓国料理は混ぜて食べる文化。ボールで混ぜて調理する、食器の中で混ぜる、あとスプーンにいろんなものをのせて口の中で混ぜるといった風です。昔はひとつの器からみんながスプーンですくって食べることもありましたが、今は普通に取り皿も使います」。韓国では基本お箸とスプーンがセット。「食事に必ずスープがつくと聞きましたが・・・」「スープかチゲは必ずありますね。チゲはスープより具が多くて鍋のような感じ。日本の味噌汁より、肉・魚・野菜などバリエーションがたくさんあります」。
26歳で日本に来られて今年で26年。電車で若者が年配の方に席を譲るのは当たり前の韓国、日本の若者にもいいところがたくさんあると黄さん。「振り返ると友人や家族、職場でたくさんの人の支えがあってここまで来られました。人は周りと支えあってこそ生きていけるもの」「私たちの国の間には難しい問題もありますよね」「韓国の普通の人たちは日本が好き。私もそう。今一緒にいる人たちを大切にしたいし仲良くしていきたい。仕事で一緒に苦労をしてくれた人達の面倒をずっと見ていきたい、それが夢です」家ではメダカを見て癒されてますと笑顔で。韓国の素敵と日本の素敵、心のうちを正直に語ってくださった黄さん。韓国をまたグッと近くに感じた温かなひとときでした。(文:土田)

セミナーレポート 2016.9.9 株式会社ドンク シモン・パスクロウさん 山中誠史さん

2016/9/17 

西宮阪急オープンの時からずっとこのセミナーの会場としておなじみのドンク。今回はドンクのおいしいパン作りの技術を伝え育むお二人をゲストにお迎えしまた。
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三代目で現名誉会長の藤井幸男さんにに乞われ、フランスから来日されたシモン・パスクロウさんは26年の長きに渡り、日本でおいしいパンを作り続け、今もドンク特別技術顧問として活躍されています。50年前、日本で初めて本物のフランスパンを販売したのは東京青山にオープンしたドンクでした。当時ドンクに技術指導に来られていたのはフランス国立製粉学校のカルヴェル教授。パリでパン職人をしていたシモンさんの先生でもありました。「ドンクのエッフェル塔の紙袋は小脇に抱えているだけでなんともおしゃれに見えて・・・。ドンクから日本にパンの食文化は発信されて、パンの技術者も育て広めた場所でもあるのね。」と白井。
ドンクに入社して21年目。西宮阪急オープン時は生産チーフを務め、3年前から技術指導をされている山中誠史さん。ミニクロワッサンが大好きでドンクに入社されたそうですが、職人としてドンク魂を受け継ぐ中で、米粒とパンは同じという思いを持たれるように。「朝食やランチでパンが食べられるように、夕食にもパンを食べて欲しい。おすすめは豚の生姜焼き。のりの佃煮もよく合います。」
甘くないシンプルなパンのおいしさを味わって頂きたいと今日の試食は盛りだくさん。バゲットは3種、アーモンドクリーム、ブリーチーズ、バターを載せて。今がおいしい山形産のだだ茶豆を使ったパン、パリっと焼いたハードトーストを。
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「フランスでは毎日パンとミルクを食べていました。常温のブリーはミルクの香りが豊か。パンの香りと一緒に味わって欲しい。日本では日持ちのする太めのバタールがよく売れますが、フランス人は焼きたてのバゲットを毎日買うのが普通。食べながら帰る人もいますよ」とシモンさん。「バゲットは50年の前と材料の配合は変わりません。小麦粉と水と塩とイーストのみを使い、仕上がりまで6時間。早朝の出勤になるので冬は陽の光を見ない日も多くなります。フランスパンは奥が深くて、経験を積むほどに考えることも多くなるんです」と山中さん。「今食べない分はすぐ冷凍を」とお二人からアドバイス。
フランスパンをシンプルな食パンの形にできないかと作られたのがハードトーストの原点。膨らみの不足を補うために、小麦粉は質のいい強力粉を使われるそう。「ハードトーストが一番売れるのが神戸地区。焼くと外がパリッと中はもちっと化けるんですよ」「ほとんどの食パンもマーガリンではなくでバターを使って、ラードや添加物を使わずに、技術のチカラでおいしく仕上げるのがドンクのパンらしさですね。」
「日本に来た頃は明治屋ぐらいしかまだありませんでした。今は食文化もグローバル化して、チーズが苦手な人は少なくなり、日本食の好みも変わってきました。シンプルなパンのおいしさを毎日の食卓でもっと楽しんでもらえたら嬉しいですね。」「日本のご飯と小麦のパンは同じ感覚で食べてもらえると思います。スープにつけて、カレーに添えて・・・」「パンピザもおいしいですよ。お好きな物を載せて焼いて」「私たちはご飯に味噌汁をかけるとお行儀が悪いと言われてきて、パンを浸すのに慣れてないのかもしれませんね。」「もともとパンは固いもの。焼きたてを食べるようになったのはフランスでもここ100年ぐらいのことです。硬いパンをコーヒーやスープに浸したり、パンプティングやフレンチトーストにしておいしく食べてきたんです。」「バゲットにも日本のおかずは合いますよね。パンを袋状に指で広げると何でも入れられます」3人のパン談義も盛り上がり、
お客様からの質問もたくさん寄せられ、身近にいつでもおいしいパンが食べられる幸せ、パンを愛する思いがあふれる素敵なひと時になりました。(文:土田)

セミナーレポート 2016.8.19 有限会社五感 代表取締役社長 浅田 美明さん

2016/8/26 

「ずっとお会いしたかった方です」白井が紹介したのは人気の洋菓子店五感の代表取締役社長の浅田美明さん。「大阪の北浜から、日本の食材を大切にしたケーキを発信しています。実家の洋菓子店で19歳から菓子作りを始め、オーナーシェフとして独立後、2000年に梅田阪急の催事に初めて参加し、そのご縁で2003年に五感として店を構えることになりました。」当時催事に出ないかと声をかけた梅田阪急の洋菓子バイヤーは、現在の西宮阪急松本店長。会場の後ろにそのお姿を見つけた白井が声をかけ、松本店長も飛び入り参加。「ちょうどデパ地下ブームのはしりの頃。個人店で頑張っているおいしいケーキ屋さんに売り場に入って頂くには梅田阪急は規模が大きすぎて・・・。そこでこのお店には生ケーキ、こちらのお店には焼き菓子というように11人のパティシエで分担してひとつの店舗を出す催事を思いつきました。1週間の出店でしたが大きな反響があり、その意志を継いでくれた浅田さんと百貨店が力を合わせてできたのが五感なんです。まだどこもやっていない新しい試みへの挑戦でした」と始まりのお話を。
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クリームに和三盆を使い、国産小麦をふわふわに焼き上げたブッセ「ふわり」を試食に。企画されたのも、作られたのも西宮阪急の五感でパティシエをされる村越さん。出来立てのおいしさを味わってもらいたいと一日2回の数量限定販売。「丁寧に作って、新しい状態で提供すれば、どこにでもあるものがどこにもないものになります。」と浅田さん。商品の冷凍保存は一切されていません「その分従業員に負担がかかるのですが・・・」。村越さんは「朝も早いですし、夜遅くなる時もあります。でも大好きなお菓子を作る喜びや、店でお菓子を作りながらガラス越しに伝わるお客様の様子が何よりの励み。子供が目を輝かせているのを見ると嬉しくて。」と笑顔で。「この前のテレビ取材の時、私がおすすめしてたのがこのブッセですよ」と西宮阪急の長島さん。人気のロールケーキ「お米の純生ルーロ」はなぜ”ロール”ではないのかずっと気になっていたそう。「ルーロはフランス語で巻くという意味なんです。ご飯ばなれが進み、米が余っているというなら少しでもお菓子に活かしたいと思ったことがきっかけです。」小麦粉のようには膨らまない米粉を使って試行錯誤された末、ロールケーキ生地なら使えると始めたものが大人気商品に。このお菓子を発送したいとお客様の声が多く、黒豆の甘煮が入った焼き菓子として誕生したのが「ええもん」。今日のお土産にご用意くださいました。
「梅田阪急の建て替えの時は売り場がコロコロ変わって大変だったのでは?」「そうですね。梅田の店も大きくなってスタッフも50名程おりましたし。ふっと『万が一ここが無くなったら・・・』と考えて、北浜のお店を出そうと思ったんです。従業員の暮らしを守ることも大切なので。北浜に出店したことで五感ブランドの厚みがさらに増したと思います。いろんなきっかけを頂いた松本店長には感謝しています。」モノを大事に、特に食べるものは粗末にしていけない、人とのご縁を大切に、とご両親がよく言われていたことが、今良く分かると言われます。自然にあるものを生かして誠実なものづくりでお客様に喜んでいただく、ご自分の目の届かない場所には出店しない、その信念をずっと貫いてこられました。ここ西宮阪急が一番西にあるお店。
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浅田さんを囲むスタッフの和やかな空気に「五感の皆さんがとても仲良しなのが雰囲気で分かりますね。」と白井。生まれたばかりの娘さんを抱っこした村越さんの奥様も浅田さんに呼ばれて合流し会場は幸せいっぱい。浅田さんをとりまく人の輪の温かみが伝わる素敵なセミナーになりました。 (文:土田)