レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2017.2.10 「龍潭」程一彦先生 NHKディレクター 高橋奈央さん NHK出版 高井美恵さん

2017/2/19 

今回は中国料理龍潭でおなじみの程一彦先生とNHK「きょうの料理」を支えるお二人、NHKディレクター高橋奈央さんとNHK出版から高井美恵さんをゲストをお迎えしました。

「今年12月で満80歳を迎えます」と笑顔の程先生。ご両親が大阪駅前に中国料理店を持たれたのは8歳の頃。「父から『今日から店のトイレ掃除はお前の仕事』といわれ学校から帰ると毎日洗い場の手伝いをしていました。台湾人で教師だった母には体にいい食材の食べ方だけでなく、中華料理だけではダメ、中華包丁で刺身を切れるぐらいでないといけない、中国茶はお茶がぬるいと誠意が伝わらないなど多くのことを厳しく教えられました。そんな母が亡くなる前に私が作る焼きビーフンを認めてくれた時は本当に嬉しかった。40歳を過ぎる頃には料理が自分の天職だと思えるようになっていました。」灘高校から関西学院大学へ。「軽音楽部に入って楽器ができない私は大劇場で人前で歌う度胸もついて・・・」多忙な毎日の中、現在もバンドボーカルとして活動されています。
野菜の摂取量が健康寿命を決めると言われる程先生。日頃から心がける健康のための十箇条も伝授くださいました。「朝はコップ一杯の水で便通を促し腸内環境を整えます」腹八分目、一度のたくさん物を口に入れず、よく噛んで唾液とからめて、笑顔で作って楽しく食べる・・・と毎日心がけることで30年以上も体重が変わらないそう。「何度かご病気になられても又こうしてお元気になられて」「そうなんです免疫力を支えるのは食の力です」とにっこり。
「トークが軽妙で野菜たっぷりのレシピが程先生の魅力ですね」と高橋さん。「きょうの料理は台本がとてもしっかりしていて、できた料理をどこに置くのかも決まってるんですよ。一度きゅうりを入れ忘れていた時には、スタッフさんがボードに書いて教えてくれたので、『こんな所に隠れておったんか』ときゅうりを後から入れたりして。視聴者にはそこが受けたらしくて。20分で晩御飯のシリーズも面白いね。料理は人柄がでてしまう。」話題は初めてきょうの料理に出演された39年前に。「こめかみの髪が長すぎる、衣装の龍の刺繍が店の名前を連想させると色んな注文がでましてね。服は無地の薄いブルーの服を慌てて作りました。けどこめかみの髪は交渉してそのままで出演しました」。「きょうの料理には、商品名を言わないような決まり事がたくさんあるんだけと、あさイチとかはそうでもないような・・・」と白井。「60周年を迎えるきょうの料理が、長い歴史の中で模索してきた末の決まり事なんだと思います。番組によってそれぞれ違うんですよ」と高橋さん。
「これから先も料理はどんどん変わっていくと思うんです。そんな中で一番影響力を持つ番組は、やっぱりきょうの料理だと思いますよ」と程先生。「打ち合わせも番組とテキストと別々に時間を取りますね。最近は京都の料理人の方もよくご出演されていますね。」白井の言葉に「京都の老舗の料理を伝える料理人の方々は、先代からの教えを守りながら、手順や材料を時代に合わせて、家庭で作りやすいようにおいしく食べられるようにと火加減や細かいところまで気配りをしてくださいます。自分の味を・・ではなく作ってもらうための工夫に心を砕いてくださるので、そんなこともテキストから伝わると嬉しいなと思います」と高井さん。

フランスの業界誌「ル・シェフ」の今年の世界のシェフ100人に選ばれた程先生は「100歳まで現役シェフが目標です」と頼もしいお言葉。これから白井と一緒に楽しいことが始まるとワクワク期待がふくらむセミナーでした。(文:土田)

セミナーレポート 2017.1.27 京・南禅寺畔 瓢亭 当主 高橋英一先生

2017/2/4 

毎年年初に恒例となった高橋先生のセミナーは、始まる前からお客様のワクワクが会場に伝わってきます。「お料理は楽しくやっていかんとおいしくできないと思っています」と高橋先生。「ひと手間を大切に」その思いを一番に込めておられるのはおだし。瓢亭ではまぐろ節と利尻昆布が使われますが、家庭では普通のだし昆布と鰹節で十分と言われます。「今日は割だしをベースに4通りの使い方で味の変化を楽しんでいただこうと思っています。」

まずは鯛の昆布〆から。「鯛をおろして皮を引いて好きな形に切って塩をあて、一時間程冷蔵庫においてじっくり塩をまわします。身から水が出てきますが、その水分をまた吸って表面がねちっとなるまで待ちます。塩は旨みが深く海のミネラル分を含む天然の塩を使って」と高橋先生。鯛の身を酒とほんの少し薄口しょうゆとみりん入れたボールでまぜて、さっと洗ってしんなりした昆布の上に並べます。ラップを敷いたバットに昆布を広げ、鯛の身を並べ昆布を載せてラップをしてバットを重ねた上に重石をして、冷蔵庫で5~6時間置くと食べごろだそう。少量の時は昆布のまま丸めてラップで包み重石の代わりに輪ゴムで止めても。

「割りだしはお酢を使わない酢の物。お酢が苦手な方にも召し上がっていただけます。だしに薄口と濃口のしょうゆを合わせることで薄口のからさと濃口の香りの両方が楽しめます。そこにレモン・すだち・ゆず・だいだいと4種類の柑橘を。少なくても3種類以上入れるとおいしくまろやかに。すっぱくて旨みの少ないレモンは控えめに、だいだいはこの時期正月飾りのものを。すだちはたくさん入ります。明日はお肌がすべすべに。香り付けに柚子の皮も擦って。割りだしは時間が経つと香りが変わってしまうので、食べるときにいる分だけ作ってください。」まずは割りだしそのものの味わいをもずくで。次は鯛の昆布〆にワサビを添えて。「精進のもずくと生臭の鯛ではおなじ割りだしでもこんなに味が変わるんですよ」。カニとほうれん草には露生姜を加えた割り出しを。「割りだしをかけるのではなく、カニとほうれん草と先によく和える方がおいしくできます。わさびとしょうがでも味が全く変化します。違いを楽しんでいただけたら。」最後はちり酢で。「そこそこ絞った大根おろしと一味唐辛子。細かく刻んだネギを入れると味がコロッと変わります。水っぽくなる分しょうゆを足してやります。」小さめに造りにした鮃と湯引きした鯛の肝にかけて。「鰹のタタキにもよく合います。これも先に和えた方がおいしくなります。さっとゆがいた鯛の皮でも、刺身の端などいろんなお造りを入れても楽しめて、また節約にもなる便利な料理です」。
「瓢亭さんのまかないってどんな風なんですか?」「1年生2年生が作ります」「へぇ、熊谷さんも作っておられたの」「出し巻を作ったりして。決まった予算で人数分をつくるので、色んな工夫をするんですが、それがいい勉強になりました」。今回も跡を継ぐ高橋義弘先生と、瓢亭で15年修業を積んだ後、苦楽園口の京料理「くまがい」でミシュランの星を獲得された熊谷伸司さんが高橋先生のお手伝いに。お話の合間に親子で確認をしながら進められる様子に「仲がいいんですね。お家でもこんな感じ?」「父は家でもあまり変わりません。いつも親子で普通に話してます」と義弘先生。
「正月の元日の朝には従業員みんな揃ってスルメ・昆布・みかんと日本酒で乾杯するとお聞きしました。京都は毎日のおかずにも決まり事があるとか」「毎月3日にはあらめとおあげの炊いたん、あと毎月末にはおからですね。これは家々で違うんですよ」白井の質問に会場からも「へぇ~」と声が上がります。誠実で朗らかなお人柄がそのまま料理の味わいとして伝わる贅沢なひととき、京都の風が会場にそよいでいました。(文:土田)

セミナーレポート 2017.1.13 白井さんの料理講習会

2017/1/19 

関西では15日までが松の内。ご家庭の冷蔵庫にお正月に食べ切れなかった食材が残っておられる方も多いはず。そこで新年最初はそんな食材をおいしく活用するアイディアセミナーで幕開けです。
試食は松前漬けとかまぼこを。「松前漬けは自分で作るとやさしい味に仕上げることができますよ」と白井。昆布・スルメ・数の子・人参と今回は切干大根も入れて。赤い金時人参とオレンジの西洋人参を使って華やかに仕上げます。「金時人参が出回るこの時期のお楽しみ。切干大根は洗って水で戻し、ぎゅっと水気を切ってから食べよい長さに切揃え、生のまま使います。」塩を抜き薄皮をむいた数の子は小さくちぎってダシ・醤油・酒・みりんに漬けて少し濃い目の味に。がごめ昆布とスルメは酒で洗っておいしく仕上げます。「醤油、みりんとほんの少しの砂糖で味付けを。毎日混ぜながら今日で6日目ぐらい。味がなじんでおいしくなりました」。

「お正月に欠かせないかまぼこ。板からはずすときは包丁の背を使うとうまくいきますよ。魚のうまみが詰まっているので、まだ残っていたら、ダシで炊いた鶏肉と玉ねぎに甘辛味をつけ、卵でとじて三つ葉をのせて木の葉丼に。かまぼこを少し入れるとおいしくなります」。
かまぼこ・ハム・ゆがいたゆり根などお正月食材の残りにきゅうりや少し塩をした紅芯大根、じっくりと焼いたカブや春を感じる菜の花などとサラダに。棒鱈の甘煮はニシンそばのようにそばにのせても。数の子は手巻き寿司、酒粕は砂糖を包んでオーブントースターで焼くと酒粕饅頭に・・・とアイディアをいろいろ。
「今年のヒットはお餅にチーズ蒲鉾を詰めて焼いたもの。水を張った耐熱容器にお餅を入れてレンジにかけ、柔らかくします。熱いので注意しながらお餅を広げ、包みたいものをのせてもう一回丸めて焼くだけ。贅沢にするならカラスミを。羊羹を入れるとトロッととろけるあん餅風に。このやり方だと少しずつ残ったものを楽しめます。お餅を焼くときはシリコン樹脂加工のくっつかないアルミホイルが便利」。おもちグラタンは実演で。「何が入っていてもいいんですよ。今回はサゴシで」。骨を取ったサゴシは小ぶりに切って、塩と酒をふってレンジへ。玉ねぎは色紙切り、生シイタケ、鶏モモ肉も食べよく切って塩と酒をふってレンジに。1/4に切った小餅もレンジで柔らかくしておきます。「ホワイトソースは鍋にバターを溶かし、レンジにかけた玉ねぎを汁ごと入れ、バターをからませながら焦がさないように小麦粉を少しずつ入れた後、牛乳を少しずつ入れるとダマになりません」耐熱皿にバターを塗り具材とホワイトソースを入れ、ゆでたブロッコリーをあしらいます。一回焼いて、チーズを載せてもう一回焼くと完成です」。
ゲストとして予定していた園田学園女子大学名誉教授田辺眞人先生のご入院が延び、今回は白井の講習会に。「昨日お見舞いに行かせていただいて。いつものように歴史や英語のいろんな話題に引き込まれてお見舞いを忘れてしまうほど。とってもお元気で安心しました。春頃セミナーに来ていただけそうですよ」と嬉しいご報告も。

さて毎回たくさんのご応募の中から抽選でご参加をいただいていた白井のセミナーですが、二重に申し込んでくださって来て下さるのはお一人だけ・・・ということも多く、お一人分が欠席になりますが、キャンセル待ちの方にご連絡が間に合わないことも。そこで次回から受付を先着順にし、それに伴いお一人300円の参加料を頂くことになりました。
会場のアンケートには温かいメッセージがたくさん。いつもと変わらぬ和やかな雰囲気で今年もセミナーが始まりました。(文:土田)