レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2019.1.25 白井操の料理講習会

2019/2/4 

今回は白井の身の回りのちょっといいコトをレシピのご紹介や試食を交えてお伝えします。「『楽しそうに仕事してるね。普段何を食べているの?』こんな風によく聞かれます」体にやさしいものをと意識するようになったきっかけを振り返る白井。「まだ30代前半。地元のお祭りでだんじりを追いかけて、上の子供の手を引き、下の子をだっこして歩き回った後、体がだるくて発熱し血尿がでて入院することに。どうして病気になったのかなと考え、思い当たったのは、ひじき、豆、高野豆腐など懐かしい味わいのおかず、乾物が足りていなかったかな、と。大豆や高野豆腐など食べ方やレシピを工夫しながら意識して食べるようになり、それからずっと日々食卓に」。栄養のバランスを考えて、茹でたり、蒸したり、焼いたりした肉や魚とフレッシュ野菜を合わせるおかずサラダを一早く提案し始めたのもその頃。
「1回ピンチを経験したことが良かったのかな。今でも毎朝ラジオを聞きながら、ヨガの真似事のような体操を毎日30分して、途中閃いたことや思いついたことをメモしながら、体を温めて目覚めさせて一日が始まります。自分が感動したことや面白いなと思ったことを、誰かに伝えて「へぇ~っ」と一緒に喜ぶ・・・。そんな風に、楽しみながら仕事を続けて来られたのも元気の理由のひとつ」。
麹も昔から身近な存在。「麹を玉露につかうぐらいのぬるい湯に溶いて作る麹水。余ったもろみは塩もみした白菜や水菜と昆布と一緒にジッパー袋で漬けたり、糠床に足したり。麹は生っぽいソフトなものがおすすめ。甘酒もよく作ります。水気を絞った野菜と甘酒でべったら漬けにも。塩分が濃いお漬物はゆがいた野菜といっしょにゴマや鰹節をふって。塩分がだめな人はわさびとか唐辛子とか香辛料で調節を」。

試食は「こうや豆腐入り鶏そぼろの三色丼」。「大豆の保湿効果でそぼろがしっとり柔かに。ご飯の代わりに春雨や葛切りを使っても。菜の花のだし浸しはビタミンがだしに溶け出すので飲める程度の塩加減にして、残っただしをドレッシングや卵とじなどに使っておいしく活用しましょう」。高野豆腐のレジスタントたんぱくなど栄養面のすばらしさが様々なメディアで取り上げられ、年末からずっと店頭で品薄になっているため、旭松さんが特別に一人1/2箱ずつの高野豆腐をお土産にご用意くださいました。「私は昆布とかつおのだしを取るのが苦にならないけど、どうしても面倒と感じる方もいるはず。もしそれで料理が楽しくなくなるぐらいなら、めんつゆを使ってもかまわないと思います。このレシピは手軽にめんつゆで。だしに醤油とみりんを足してめんつゆの味にして作ってもOK。自由に楽しく作ってくださいね」。
「高野豆腐の酒粕仕立て」は仕上げに酒粕を加えて豊かな風味をプラスしたもの。「高野豆腐が鍋に入り切らない時は、ちょっと戻りかけた時に一つ取り出して、うまく隙間に埋まるようにカットして鍋に戻します。調味料は合わせてから全体に回しかけましょう。塩や砂糖を足すときも、そこだけ塩辛くなったり甘くなったりしないように煮汁と合わせてから」。

他にも「鶏のマーマレード照り焼きルッコラサラダ」と「エビマッシュルームドレッシング」のレシピを駆け足でご紹介。「例えば葉付きの小玉ねぎや山ウド。あ!と目についたものは買って味わってみて。『今日百貨店に行ってきたらね・・・』と数百円の幸せが食卓を楽しくしてくれるはず」。会場は今日も和やかな笑顔がいっぱいでした。
(文:土田)

セミナーレポート 2019.1.11 株式会社神戸酒心館 代表取締役社長 安福武之助さん、副社長 久保田博信さん

2019/1/23 

新年最初のゲストはブルーのボトル「福寿」でおなじみの株式会社神戸酒心館 社長の安福武之助さんと副社長久保田博信さんのご兄弟。「阪急の青いギフトカタログで「福寿」を使った「牛肉の佃煮」を手掛けていただいたのがご縁の始まり」と白井。ご近所ということもあり、山田錦を使う日本酒の本作りもお手伝いいただき今ではすっかり仲良しに。「蔵ではお二人がTシャツやポロシャツを来ておられたり、多言語のパンフレットがあったり新しい風を感じました。」「あれは社員のユニフォームです。お蔭様で蔵に来られるお客様は年間15万人。小さな蔵ですが世界から多くのお客様が来られるので、16の言語でパンフレットを用意しています。現在は海外15か国へ輸出もしています。」重い日本酒を携え海外へ出向き、地道にPRを行ってこられた努力が実り、ノーベル賞晩餐会で饗される酒としても世界から注目を集める人気の銘柄に。「お二人とも英語が堪能ですものね。海外で好まれるのはどんなお酒?」「まず香りが大事。華やかでフルーティーだと入りやすいようです。海外で試飲していただいて面白かったのは、アメリカでは香りがあってのど越しがすっきりしたものを好まれるのに比べ、フランスでは味に複雑味があるものが好まれます。ワインへの造詣の深さを感じました」。

「昔からの酒造りを守るにも道具を作る職人がいなくなりご苦労されている蔵もあると聞きます。」「かつては但馬杜氏が蔵人を連れて城崎から酒を造りに来てくれていました。杜氏さんの高齢化もあり、5年後も10年後もこのおいしさを守るために、社員が杜氏の技術を学んで、年間を通じてお酒が作れるよう『社員杜氏』という体制を作っています。」「酒造りは同じやり方で作っても同じ味にはならない繊細な部分があります。お酒の味を決めるのは昔から「一麹、二酛(もと)、三造り」と言われ、麹が味を決める大きな役割を担います。そこで管理しやすく自分たちが思い描くような良い麹を作るためにたらいを使った『たらい麹』作りに取り組みました。ホームセンターでもたらいが手に入らず、代わりにプラスチックのケースで作ってみたところ、きわめて上質な麹をみんなが作れるようになり、大吟醸の一部商品に使用しています。」「伝統を守りながら、新しいことにチャレンジするというのがウチの考え方です」。ご兄弟の仲の良さがお話のリズムから感じられるのも和やか。

試飲にご用意いただいたのは「福寿」の「大吟醸」「純米吟醸」「超特撰純米酒」の3つ。「大吟醸」はりんごのような甘い香りとキレを感じるのど越しを併せ持ち、宮水でドライに仕上げた逸品。「純米吟醸」は旨みと香りとのバランスの良さが持ち味。「この味をベースに、もっと華やかさを求められるなら大吟醸、辛口が良ければ純米酒とご自分の好みがよくわかると思います」。香りは控えめながら旨み豊か、辛口でボディー感を楽しめる「超特撰純米酒」は40~50℃に温めるとカドが取れてやさしい味わいに。温度帯で味わいが変わる日本酒の魅力を楽しむのもおすすめだそう。試食は焼きたてのバケットに黒豆のディップとアンチョビをトッピングしたカナッペを。
「海外の方に日本酒のゲートウェイとして米と水からできるサケのことを丁寧に説明して理解を広めたいと考えています」「酒蔵だけでなくレストランやイベントホールなどをきっかけにお酒に関心のない方も含めて多くの方に楽しんでいただけるサービスを考えていきたいと思います」。お二人の抱負に瑞々しい未来を感じたひと時でした。

(文:土田)

セミナーレポート 2018.12.7 白井さんの料理講習会

2018/12/25 

今年最後の食のミニセミナーはお客様からリクエストが多い白井の料理講習会。何かと人が集まることが多い年末年始に活躍しそうなレシピ5つをご紹介・・・。
まずは「海鮮揚げ団子と春菊の鍋」。揚げ団子はおつまみで食べても、あったかいお鍋にしても、応用の効く一品です。「生臭さが残るサゴシの血合いと骨は除き、小ぶりに切ります。エビも皮をむいて背ワタをとり塩と酒で下味をつけて小ぶりに切ります。れんこんの水分が多い時は水分だけをスープやカレーのとろみ付けに使っても。揚げ団子をそのまま食べる時は、れんこんを少し刻んで加えるとシャキシャキ食感を楽しめます。タネはスプーン2つでお団子に丸めて170℃ぐらいの油で揚げます。やっぱり揚げたてはおいしい。でも菊菜とのお鍋も最高」。こちらは試食をご用意。

「れんこんのきんぴら」は白井の最近のヒット作。「れんこんをまず縦に切って、太さを半分くらいにしてから、鉛筆を削るように、分厚いところと薄いところをあえて作ってフライパンでじわーっと焼いていきます。酒とだしを加えて蓋をして、ねちっとした食感になったら薄口醤油と塩をほんの少し加えて火を止めます。れんこんを食べるという感じのきんぴらに。粉山椒や一味をふっても。フライパンで焼くだけでおいしい野菜は他にもたくさん。カブやきのこはもちろん、湯がいた海老芋を焼いて味噌をつけると絶品。高いけどおいしいですね。里芋との違いを楽しんで。九条ネギや根深のネギは少しだけレンジにかけて焼くと甘さが引き立ちます。熟して柔らかくなった柿はお宝。スプーンで少しすくって味噌や醤油、ゴマなどを加えて焼き野菜のたれに。焼肉のたれを合わせても。自然の甘味ってすごいなって思われるはず」。

「これをやっておくと本当に助かる」と白井が紹介したのは「魚のうまみ漬け」。新鮮な魚を一口大の薄切りにして酒大さじ3、塩小さじ1/2を合わせたものにくぐらせたら、だし昆布の両面に並べ、ジッパー付きの袋に入れて冷蔵庫へ。2日後も塩を足して合わせ酢に浸し、春菊のだし浸しなどと合わせ、柚子をあしらうと季節の一品に。「トマトとカラフルなミニトマトを細かく切って、うまみ漬けした魚を合わせ酢ごと合わせて、オリーブオイルで加えてマリネに。緑の野菜やレンジでチンしたマッシュルームなどを足し、塩加減を確かめて。袋に穴があかないように昆布は角を切っておくと安心。スズキや鯛、ハマチやシマアジの切り身でもうまみ漬けで3日程はいい匂いがしていたらOK。焼いてもおいしいです。この方法は鶏肉でも使えますよ」
「いかのほろ酔い漬け」は新鮮なイカの皮をむき、塩を溶いた酒にくぐらせた酒粕漬け。「レンジで柔らかくした酒粕に白味噌、みりん、砂糖を加えて酒粕床は、魚とかタコとか、色んなものを漬けて楽しんで。粕床そのものもおいしいです」。
華やかな「カクテル卵」。「クリスマスには細長いお皿や緑や赤の食器に。お正月ならガラスの容器に南天や椿の葉を添えて。手間はかかるのに食べるのは一口、でもまた来年も作ってねというお正月が来るはず・・・。クリスマスの10日ぐらい前からミニトマトとブロッコリーなど赤と緑のクリスマスカラーをやめておくと、クリスマスの食卓が新鮮に」。お客様も「へぇ~っ」と感心のご様子。

師走を忘れる和やかなひとときに「癒されました」のお言葉がアンケートはたくさん。皆さま、どうぞよいお年を。(文:土田)
*「魚のうまみ漬けを酢じめに」「れんこんのシャキシャキもっちりきんぴら」のレシピはこちらでご紹介しています。
NHKラジオ「かんさい土曜ほっとタイム」HP「白井操のよろしゅうおあがり」>