レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2018.10.12 料理研究家 白井 操さんの料理講習会

2018/10/20 

今回のテーマは「恥ずかしいくらい簡単レシピをお伝えします」。毎回お客様アンケートには簡単でおいしい、見栄えする料理を教えて欲しいという言葉が目立ちます。「マンネリになってしまうから・・・」「季節を感じたい・・・」そんなお客様のメッセージにお応えしましょうと始まったセミナー。始めから終わりまで、料理のアイデアを次々と20ほどお伝えした中から少しだけご紹介を・・・。

「私自身とても忙しい毎日。でも元気のモトはちゃんと食べること。今日一番お伝えしたかった魚大作戦から・・・」と白井。新鮮な刺身用の魚の切り身を酒大さじ3強と塩小さじ1/2にくぐらせ、小さなだし昆布を1枚入れて、ジッパー付きの袋に入れ冷蔵庫へ。「火曜日の朝、出張に行く前に作ったものを袋ごと回覧しますね。今日で四日目です。冷蔵庫の中で保冷剤を当てておくとより安心。保冷剤はジッパー袋をくるりと巻いて2重になった側に当てて・・・。」同様にお酒と塩にくぐらせ昆布を添えたブリの切り身が入ったジッパー袋も回覧。「最近は季節に関係なくブリがお店に並ぶように。ブリはその生臭さが気になる方も。でもこの方法なら保存もできて匂いもなくなって味も良くなるんです。昆布のチカラってすごいですね」お客様も二つの袋をそれぞれ嗅いで「へぇ~っ」とびっくり。「ね、全然におわないでしょ?新鮮な魚に出会ったのに、すぐに食べられない。そんな時この方法を知っていると迷わず買って帰れるのが嬉しいんです。ブリはフライパンで照り焼きや、粉をふって揚げものに。匂いがしないうちは大丈夫。お刺身なら酢の物に入れたり、酢〆にしても。豆腐にのせて蒸し物にも。魚をまるごと1匹買って、半身はお刺身に、残りはこの方法で保存して別の食べ方で・・・とまた楽しみが増えますよ」。

「生栗の皮をむくのは面倒・・・、そこで一番簡単なのがゆで栗。グラグラと30分ぐらいゆがいたら、半分に切ってスプーンで実を取り出し、味噌に足して和え衣にすると、ちょっぴり料亭気分を味わえるほうれん草の栗味噌和えに。豆腐の白和えに足しても。だし炊きご飯を炊いて混ぜ込み簡単栗ご飯もおすすめ」。だし炊きご飯は、吸水させ水気を切ったお米を、昆布とかつおのだし、薄口醤油、塩、酒を入れて炊くだけの手軽さ。「ちょうど新米の季節だけど、古いお米が残っていたら、ぜひだし炊きご飯を試してほしいな。古いお米の匂いも気にならないし、混ぜご飯にもトッピングご飯にも自由にアレンジができます」。試食はだし炊きご飯に白井のおすすめコーナーから金山寺みそを添えて。トッピングに枝豆と蒸し黒豆と白大豆のだし浸しをパラリ。「ちょっと残った枝豆を、さやから外してだし浸しにしておくと、こんな楽しみ方も」。
「里芋は下味をつけてストックするととても便利。洗った里芋を皮のまま茹でて、皮をむいてめんつゆと一緒にジッパー袋に入れて冷凍します。繊維が壊れて味がよく入り、食べたいときにすぐ使えます。このままお米と炊いて里芋ご飯に」。

おいしい保存術、作りおきや使いまわし、季節を楽しむアイデアなど、次々飛び出す盛りだくさんのセミナー。「今すぐに試してみたい」「早く帰って料理したい」そんなワクワクがお客様から伝わってきました。  (文:土田)

セミナーレポート 2018.9.28 マルカン酢株式会社 取締役社長 笹田傳左衛門さん

2018/10/4 

「お酢のチカラのこと、長い歴史のこと、今日はお酢のことを色々教えていただきたくてお招きしました」白井が紹介したのは、マルカン酢株式会社 取締役社長の笹田傳左衛門さん。まずはマーケティング部の竹内しのぶさんからマルカン酢についてのお話を。

「1649年、徳川家光公の時代に名古屋で創業しました。酢屋勘三郎の「勘」の文字と丸を組み合わせたマルカン印は当時良い酢の証として世に知られ、社名にもなりました。明治に入り1893年に神戸の地に移転して125年。お酢だけを手掛けるお酢の専業メーカーとして来年には370周年を迎えます。」「へぇ~、すごい。アメリカにもいち早く進出なさったそうですね。」

笹田社長は笑顔でうなずかれ「アメリカでの創業は1974年。アメリカ人はお酢を使うの?とよく聞かれますが、ドレッシングやケチャップにも普通に入っているでしょう。お酢は世界中にあり、フランスではぶどうで作るワインビネガー、イギリスでは麦芽から作るモルトビネガーと、その国のお酒と同じ原料で作られること多く、日本はお米という訳です。」アメリカ在住の日本人や日系人のために・・・と現地生産を手掛けられたところ、すし酢がヘルシーなノンオイルドレッシングとしてアメリカ人の間で広まり大人気に。さらに20~25年前にはアボカドやカニかまを使ったロール寿司が登場し、新しいスタイルの寿司がアメリカで花開きます。「酢を通して日本の食文化の魅力を広めることに大きく貢献されたんですね」「酢は醸造物ですので、現地の工場では、ひとつひとつの作業を丁寧に行うように指導しました。輸出ではなくて、日本人のものづくりの心も伝えることが大切、という思いもありました」。モニターには現地のスーパーに商品がずらりと並ぶ写真が。今ではアメリカの工場も2つに増え、北米での売り上げも好調なのだそう。

本日の試食は、ミニトマトやきゅうり、玉ねぎ、パプリカ、セロリなど野菜を切って「ピックル酢」に漬けた簡単ピクルスと、新物の鮭とブリのムニエル。「寒い季節に出てくるはずのブリも近頃は年中売り場に並びます。ブリは匂いが気になるという人も、お酢を少しかけることで、おいしく召し上がっていただけますよ。今回はスタジオで作ったハーブ酢を。そのままのお酢の香りと比べてみてください。」好みのハーブを洗って水気を切ってお酢に浸すだけの手軽なハーブ酢はやわらかな風味。
「鶏肉とゆで卵の煮物に少し酢を入れると鶏の臭みが気にならず旨みもプラス。醤油・酒・みりん・砂糖に少し酢を足す、お酢が苦手な人はそんなところから初めては・・・。酢の物を作るときはだしをお酢に少し足すと酢が柔らかくなりますよ」「時間をかけたお酢はまろやかです。じっくり熟成させるとお酒がまろやかになるのと同じ。ウチは静置発酵という製法を守って、機械を使えば2日で済む行程を25日かけて発酵させています。丁寧に作ることが何より大事です」。

お土産にとすだちポン酢をご用意くださりお客様も嬉しそう。「1本にすだち10個分の果汁が入っています。買われた方が原材料をみて分かりにくいものは入れないという方針ですので、食品添加物は加えていません」と竹内さん。時を超え海を越えて、受け継がれ愛される本物のお酢。お酢を語る笹田社長のお話には誠実な思いがあふれていました。(文:土田)

セミナーレポート 2018.9.6  社会福祉法人プロップ・ステーション 理事長 竹中ナミさん

2018/9/13 

ゲストはパソコンを使った情報通信技術で障害のある人の就労を支援する「社会福祉法人プロップ・ステーション」の理事長、竹中ナミさん。「一昨日かな?新聞でナミねぇの記事を見て。ナミねぇの活動は注目されているのね」と白井。「いろんな取材を受けるけど、元はワルやったってちゃんと書いてくれてる記事が好き!」と笑顔のナミさん。

プロップ・ステーションの始まりは、26年前、事故で寝たきりになった青年との出会いから。「彼は自分は人に手助けしてもらうばかりでなくて、自分も誰かの役に立ちたいし、働いて稼いでtaxpayer(納税者)になりたいと言うんです。人はお金のためだけに働くのではない、生きていくというのは人と関わって助けて助けられることやと気づきました。ベッドの上で守られていたらいいという思い込みが差別につながることも。PCがあればどこでも仕事はできる、海外ではすでに実現しているという彼の話を聞いて一緒にやろうと始めたんです」。

「ビルゲイツさんと直接会ったのよね?」「プロップを始めた頃はIT業界やベンチャーの若い人たちが応援してくれたんです。マイクロソフト社が日本にも進出した頃で、日本法人の社長の紹介でビルゲイツさんにも会って『あなたの活動は必要です。応援します』と言ってもらえました。プロップを社会福祉法人にしようと国に相談すると最初は福祉の手当てがあるから大丈夫でしょと言われたり、高価なPCを売りつけるのでは?と疑われたり。なんとか話を進め、法人認可に必要な基金1億円はビルゲイツが用意してくれることになりましたが、必要書類としてビルゲイツの禁治産者証明・印鑑証明・通帳の残高証明を提出しなさいと言われて・・・。アメリカ人に印鑑証明って・・・!?。そこで日本法人の社長に事情を話すと『私の証明書を用意します』とすぐに準備してくれて無事申請することができました。社会福祉法人になると社会的な信用が増し、企業から大きな仕事の依頼も来るようになります。いろんな方に手助けや知恵をたくさんもらいました」とへぇ~!!なエピソードを。
「障害を持つ人でも自分と違うやり方ですごいことができるかもしれない。小さい時からそんな教育ができたらいいなと思います。弱者に手を貸すことから一歩進んで、弱者を弱者でなくしていくプロセスが福祉かなと。経済活動だと思っているんです」。障害がある人は「気の毒」ではなく「宝物」に見えるとナミさん。

活動の原点は重度の心身障害を持つ娘さんの存在。「目もほとんど見えなくて、言葉が理解できなくても、私が歌うと笑顔が出たり、機嫌が良くなったり。」いつしか歌のチカラってすごいなぁと思うようになられたナミさん。還暦の時、アメリカ大使館から表彰されたり、皇室の園遊会に招待されたりと嬉しい出来事が続き、仲間からお祝いは何がいいと聞かれ「プロの演奏家の生演奏で歌いたい」とリクエスト。人前で歌う楽しさ、拍手を受ける喜びに感動して以来、ライブ活動もライフワークに。直近のライブ予定は、10月3日(水)京都祇園ボンズ・ロザリーというライブハウスでの『古希 記念ライブ』とのこと。ナミさんの予定は仕事もライブもHPで誰でも見られるそう。
少し時間を残して、東京での次の仕事に間に合うように、会場を飛び出して行かれたナミさん。NHKの経営委員や中央省庁へのアドバイスなどひっぱりだこ。どこへ行ってもどんな人からも「ナミねぇ」と呼ばれる明るくオープンなお人柄が伝わります。会場からは「パワーをもらいました!」「ラジオで聞いて気になっていた方。お話を聞けて楽しかった」と嬉しい声がたくさん寄せられました。

試食はドンクのハードトーストに、東洋ナッツの「パンに塗るアーモンド」を。アクセントに「あの日の梅干し」を少し添えて・・・。     (文:土田)