レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

2018.1.12 料理研究家 白井操の料理講習会

2018/1/14 New

(今回は白井自らレポートする特別編。セミナーに参加した気分でお楽しみください。)
今年初めての「食のミニセミナー」はとんでもなく寒い朝にスタート。「きっと皆さん出にくいだろう・・・」と案じていましたら、なんと40人分用意させていただいていた試食が、みーんなお席におさまりました。よかった。
今回はこれまでのセミナーで、お客様アンケートに書いてくださった質問やご希望にお答えしつつ、健康長寿、アンチエイジング、老化を防ぐには・・・をテーマに。あちこちのテレビでもよく取り上げられているタイトルです。

ある番組では、介護サービスのお世話にならず、90歳100歳まで元気で楽しそうに暮らしておられる方達の食生活に共通する発酵食品にスポットをあて、アンケート調査を。1位はヨーグルト、2位は納豆、3位は味噌、4位はぬか漬け、5位キムチ、なんですって。
改めて自分のことを振り返ると、実は私もよく発酵食品を食べています。腸の環境を整え、有効微生物で腸が満たされているとガンやインフルエンザにかかりにくい体ができるってよく言われます。中でも味噌や納豆など大豆製品は、大豆を発酵させることで、ビタミンBがグンと大きく成長して新しい栄養素になるそうで、すごいことです。
西宮阪急の白井のコーナーの味噌はいろいろな種類がありますが、最近置かれるようになった兵庫県・吉川の山田錦の里で作られた白味噌は山田錦を原料としたこうじが信じられないほど贅沢に使われ、塩が少ないのでとてもおいしいお味噌に仕上がっています。ただ塩分が少ないので変質しやすいため冷蔵庫で保存を!赤味噌と白味噌で合わせ味噌にすると栄養効果もよく、おいしいダシで具だくさんの味噌汁にして、ぜひ毎日少しずつ腸活を。私はヨーグルトの中にほんの少しこの白味噌を入れたりもします。飲むヨーグルトって感じです。そのままでも野菜の和え衣にも。私はぬか漬の床にこうじを入れて冬は大根やニンジンを漬けていますが、おいしい上に生より乳酸菌の力が何倍にもなるとか。

試食は我が家で作ってきたダシとお酒・みりん・醤油だけで炊いた昆布の佃煮と菜の花のだし浸し、白味噌、納豆キムチ。そして魚売り場からは旬の寒ぶりを。一口大に切り、お酒と塩をなじませてしばらく置き、フライパンで焼いて、砂糖・醤油・酒・みりんで照り焼きにしたものを、かつおと昆布のだしに塩・薄口醤油を加えて炊いたご飯の上にトッピング。粉山椒がよく合います。
お客様アンケートは読ませていただいていつも感謝しているのですが、今回ご参加いただいた方のアンケートで、この寒い中、朝早くから岡山倉敷から来てくださった方もいらしたことを知り、うれしかったです。今年は西宮阪急10周年の節目。開業から続いているこのセミナー。皆さんと料理の悩みを共感しながら今年も楽しく学んでいたいと思っています。
(文:白井操)

2017.12.8 京都錦 かね松老舗 店主 上田耕司さん

2017/12/13 

今年最後のセミナーは、西宮阪急の野菜売り場でおなじみの「京都錦 かね松老舗」三代目店主の上田耕司さん。京都の台所、錦市場で明治15年創業の老舗です。京野菜ブームの火付け役でもある上田さんが、今日の試食にと選んでくださったのはごろんと丸い聖護院大根。「皮を厚めに剝いて、サイコロに切っておでんに入れてみてください。とろける様でしっかりしていて、普通の大根と一緒に炊くと一番差が出ます」ダシを吸った聖護院大根はなんともなめらかな口当たりと程よい歯ごたえ。「皮は玉ねぎと合わせてポタージュに使うといいですよ」。

「京野菜はなぜおいしいの」上田さんの答えは「京都にはたくさん人糞があったから」とシンプル。「京都には千年以上前から人がたくさん住んでいて、周りに海がなかったので人糞を山に捨てるしかなかったんです。それで良い土壌が育まれ、エコのサイクルが出来上がっていたんです。」都の食文化と関わりが深い京野菜は厳密にいうと京都市内で作られたものを指すそう。「でも意外とエビ芋は富田林産がおいしいんです。静岡でもいろんないいエビ芋を作っていますよ」「ふふ、お商売を忘れてますよ」と笑う白井。

「冬の九条ねぎは柔らかくて、ねぎと牛肉だけのすき焼きも絶品です。」と上田さん。「京野菜は本来その季節しか出回らないもの。九条ネギ、聖護院大根、エビ芋は冬。夏は賀茂なすやきゅうりと旬の味を楽しみます。お揚げと炊いて一番おいしいのが畑菜。1月2月の初午の時に食べるのは、その頃一番おいしいから。京都でこの日に何を食べると細かく決まっているのは旬を忘れないように。5月5日に筍ごはんって遅いんちゃう?と思われるかも知れませんが、本当の旬はその頃。今はなんでも早く早くなってしまっています。」お盆の精進料理、七草がゆは暑さやお正月のごちそうに疲れた体を野菜で癒す昔ながらの知恵だとも。

「上田さんは京都大学を出られた八百屋さんなんですよね。松茸にずいぶん力を入れられて」「岩手の松茸研究所に協力した後、京都の山を何千人かかって手をいれたりしたんですが1本採れただけ。私たちが薪や炭の生活に戻って、松林でも傘をさして歩けるぐらいの里山を育てないと出ないようです。」スウェーデンやポルトガルまで松茸の調査に行かれることも。「松茸は松茸ごはんが一番いいですね。1本しかなくても大勢の人に食べてもらえるから」「あ、私も賛成!」と意気投合。

無農薬野菜を作りたいと就農する若い人たちの指導もされる上田さん。「ただ無農薬というだけでなく、食べておいしい野菜を作って欲しい」と思いを。八百屋さんの枠を越えて京の食文化や農業を守り伝えることへの意気込みが伝わってきました。


白井からは12月の「きょうの料理」で放送予定の「牛肉のたたき」と「ポテトのサーモン巻き」のご紹介を。試食の聖護院大根に添えたのは白井のおすすめコーナーから山田錦の米麹を使った「白みそ」と「梨醤ソース」、「わさび漬け」でした。

(文:土田)

2017.11.24 株式会社ドンク 執行役員 営業本部長 上澤 祐さん

2017/12/1 

「日本にフランスの文化を伝えるとともにたくさんの職人を育ててこられた会社です」と白井が紹介したのは株式会社ドンクの営業本部長 上澤祐さん。

「1905年に神戸で創業し、今年で112年。ドンクという名前になったのは1947年、ドン・キホーテ(Don Quixote)の最初の4文字をとったオリジナル名です」。1954年フランス国立製粉学校のレイモン・カルヴェル先生との出会いが大きな転機に。「その時に教わったフランスパンの製法を今も守っています。焼き上げまでを一気に行うためコントロールが難しいのですが、その分焼き上がりのおいしさは格別。ぜひ試食のパンも乾かないうちに召し上がってください」。

東京青山に出店した頃は皮の硬いフランスパンに戸惑う声も聞こえる中、来日フランス人やフランスに住んだ経験のある方の口コミから評判になり、モード雑誌にも取り上げられブームに。
「ドンクのものづくりのルーツはヨーロッパの伝統の技」と言われる上澤さん。クリスマス菓子のシュトーレンやパネトーネなどにも独自のこだわりが。「パネトーネはイタリアの発酵菓子。イタリアの風土に育まれた種は日本では時間が経つとその味わいが再現できなくなります。そこで毎年イタリアに職人が出向き、毎年譲り受けています。30年以上続いています」。地元のパネトーネの見本市で試食を提供した時も大好評でその味に自信を深めたそう。本場の人々を唸らせる伝統菓子もドンクの自慢のひとつ。

「毎年約50名の社員がフランスのヨーロッパの老舗ベーカリーを中心に海外視察や研修を通じて腕を磨きます。様々な環境で職人としてステップアップし、人としても育つ、それが職人自身の励みになっていると思います。」パンのワールドカップと言われるクープ・デュ・モンド・ド・ラ・ブーランジュリーでの優勝実績など、世界トップクラスの技を持つ職人が変わらぬドンクの味を支えています。

ドンクの店頭にならぶパンの約3割はお店ごとのオリジナル商品。職人が地域のお客様の好みを考えながら工夫されるそう。「西宮バゲットって普通のとどう違うの?」白井の質問に急遽、西宮阪急の店長向井さんも会場へ。「フランス産の粉を使って前日に仕込み一晩しっかり熟成させていますので中のもちもち感と皮のパリッと感を強く感じていただけます」「これを薄く切って色々のせて食べるとおいしいの!和の惣菜にも合いますよ。パクッと一口で食べられるサイズもいい。」と白井。

「これまでは、ものづくり、人づくりにこだわってきました。これからは商品の楽しみ方をもっとお伝えしたい。」と上澤さん。「ドンクに入社して20年、本当に良かったと思っています。お客様との接点を大切にしていきたい。」と向井さん。会場のお客様にドンクの精神とお二人の誠実な思いがしっかりと伝わった温かなひと時となりました。(文:土田)

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