レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操発スタジオ*トピックス

旬の栗のおいしさを食卓で

2016/10/27 

兵庫県は食の宝庫です。そこに住める幸せをしみじみ感謝します。
百貨店のお中元お歳暮のカタログで全国のおいしいものを紹介するコーナーを担当して9年。あちこち取材に行きますが、地元兵庫にも全国ブランドになっているものがたくさんあります。まだまだ知られていないものも数知れず。干物の加工技術がすぐれているため、よそで獲れた魚も兵庫県で加工されること、逆にからすみは技術やブランド力は長崎が優れているものの原料となるボラの卵巣は兵庫県産ということなどをご存じの方は少ないはず。兵庫県はおいしいものを縁の下での支える力持ちでもあるんです。

この秋、丹波栗のことを教えてもらってびっくりしました。歴史は古く平安時代初期に制定された「延喜式」の朝廷に栗を献上する国として、なんと「丹波」の名前があがっているんですって。9月~11月に出回る生の栗は、ほとんどがお菓子やおこわに。家庭の食卓では「料理がめんどう・・・」と言われてしまいます。ビタミンCや今評判のビタミンB群のひとつ葉酸もたっぷりあるのに残念ですね。
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このたび兵庫県農林水産技術総合センターが甘さを高める保存技術を開発され、低温処理施設のおかげで、大粒でクリーミーな丹波栗の甘味が3倍になりました。
で、私のおすすめの栗のみそあえを紹介します。栗はただ丸ままゆがくだけ。20分強ゆっくりゆがき、半分に切りスプーンでかき出した栗に、ほんの少しのだしと好みのみそ、砂糖を加えるだけ。火にはかけません。栗みそはご飯に載せてもほうれん草や春菊と和えてもやさしい味わい。つぶつぶが残っていても気にしないで・・・。口の中で栗を感じてなお美味しいです。スプーンでかき出した栗を蜜に漬けたり、コンデンスミルクを混ぜて市販のシュークリームにはさんだり。ぜひやってみてください。これから栗をみたら買いたくなりますよ。
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昔も、今も・・・

2016/7/1 

昭和14年初版の主婦の友社から出ている「花嫁講座」の料理シリーズは私の宝物です。母や叔母が使っていたらしく時々書き込みもあって、そのまま作ったことは一度もないけれど側にあるだけで何かを教えてくれている気がします。
材料、その後に作り方と書かれたものもありますが、何より頻繁に出てくる「拵える(こしらえる)」という表現が何ともいえずいいのです。

「一度に澤山拵えて(たくさんこしらえて)缶にでも入れて密閉しておけば、急のお客様などの時、ちょっと芥子(からし)和えなどが出来て便利です。」
これは日本芥子を香気よく溶く方法を説明した文章の結びの一文。粉芥子は初めに番茶で固く練り上げ、それを布巾に包んで10分位蒸します。こうするとよい香りが立って溶き芥子の素のようなものができます。それを保存して入用の時に酒か湯で伸ばしていつでも使えるようにするのです。チューブ入りの芥子が販売されるのはまだまだ先のこと。香辛料も手作りする時代、急なお客様でも手作りのもてなしを…。作り方の中に書き手のメッセージがたっぷり入っています。

お鍋の使い方を書いているページには、その時代に使われていた台所の様子もよく分かります。
「アルミニウムの永保(ながもち)法に、アルミニウムの鍋類は軽くて取り扱いに重宝ですが、それだけに損やすい(いたみやすい)ですから、酢の気のあるものや空炒りは絶対にしない方がよいのです。そして料理したものはすぐに他の器に移すことと、洗うにも磨砂(みがきずな)をつけてぎゅうぎゅう擦ったりせずに柔らかい布巾か絲瓜(へちま)に粉石鹸をつけて軽く洗い水気をよく拭きとっておくのが永保(ながもち)の秘訣です。時々コルクに油をつけて内外を磨くとよく光澤が出ます…」。

今の時代活字が多いと料理本は売れないと言われます。語りつくせない料理の多くの作業には、技術の奥に優しさや思いやりのひと枝があるんですよね…。皆さん!
昭和14年の古い本

「食から学ぶ震災の記録」を作りました

2016/6/1 

食は人をつなぎ、食卓は心を近づける・・・。ずーっとそう思ってきました。さきの阪神淡路大震災から22年。気がつけば、あの時今の私と同じくらいの年齢だった方の多くは亡くなっています。あっという間に月日は流れ、あの怖かった経験も消えようとしています。
食べるものを作ることを仕事にしてきたことはこの本を手掛けたことと無縁ではありません。相手を思い、食材を料理し、食卓で分かち合って食べるからこそ、人の痛みが伝わり、頑張ってこられた様子を知ることができました。どうやら人は、心からほっとし、緊張が解けると心に溜めてきた思いをつぶやき、又その相手の気持ちを受け止める力が湧いてくるのかも知れません。
私はいつの日からか、いろんな方々と食事を共にする中で、その方の震災の記憶を忘れない内に書きとめておきたいと思うようになりました。次の世代がもし同じ様な災
害に見舞われたとき、この時の記憶がひとつでも心に残っていたらそれは何かの助けになるはず。助ける人になるか、助けられる人になるかは分かりません。どちらになってもあの震災から学んだ経験がひとつでも生かされることを願っています。食べ物を切り口に解いていくと、いろんな事が見えてきました。
スタジオトピックス16.5.31震災本表紙②
一般の書店に並べて多くの人に読んでいただくことも考えましたが、すべてを非売品にし、兵庫県、神戸市を通して学校や図書館、公共施設に寄贈しようと決めました。嬉しいことに神戸市立中央図書館で本をPDF化し管理していただけることになり、今準備中です。より多くの方に読んでもらえるよう、中央図書館のホームページからダウンロードが可能になる予定です。
阪神淡路大震災以降、日本各地で次々と地震災害が頻発しています。どうぞこの本が次の世代の何かの役の立つようにと祈ってやみません。
たくさんの感謝をこめて
白井操

●●NEWS●●
6月9日、神戸市中央図書館HPからPDFデータで本をご覧いただけるようになりました。http://www.city.kobe.lg.jp/information/institution/institution/library/top/info_20160528.html   (神戸市立中央図書館1号館2階「神戸ふるさと文庫 震災関連資料コーナーで閲覧できます)

「食から学ぶ震災の記録」目次PDF ←クリックしてください。別ウィンドウで開きます。

 

☆神戸市内の配布先:市立学校園、区図書館、区役所、地域福祉センター等

☆神戸市立中央図書館 TEL:078-371-3351
開館時間:9時15分~20時(火曜~土曜)、(日曜は18時まで)
休館日:月曜日 (5/30~6/9まで蔵書整理のため休館)
http://www.city.kobe.lg.jp/information/institution/institution/library/top/

 

☆兵庫県内配布先:市町防災部局、市町立小中学校、県立・市町立図書館等

☆兵庫県立図書館 TEL:078-918-3366
開館時間:9時30分~18時
休館日:毎週月曜日 毎月第3木曜日
(注)2016.8.31まで建替えのため休館。2016.9.1~仮設図書館で開館。http://www.library.pref.hyogo.jp/news/28taishinkouji/28taishin_kyukan.html