レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

柊とホーリー

いよいよ今年も押し迫ってきたねえ。街中はクリスマスモード一色。ところで、西洋でクリスマスに欠かせない木は、モミの木とヒイラギだね。モミの木はもちろんクリスマスツリーに使うけど、ヒイラギはホーリーと呼ばれクリスマスリースに使うことが多いよね。
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ところで、クリスマスカラーと言えば、赤、緑それに白の三色だけど、赤はキリストの流した血の色で愛を表し、緑は常緑の木の色で永遠の命を、そして白はクリスマスに降る雪の色で純潔や潔白を表すそうだぞ。知らなかった人は、クリスマスを祝うのであれば、ちゃんと覚えておくんだぞ。

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さて、ホーリーはキリストか付けていたイバラの冠のように鋭い刺があり、常緑であることと、キリストの流した血のような赤い実を付けることで、クリスマスにはよく使われるんだ。ヨーロッパには,常緑の木は針葉樹くらいしかなくて、常緑広葉樹でしかも赤い実のなる木はすごく珍しいんだよ。

日本にもヒイラギは自生しているけど、ヨーロッパのホーリーとは全く異なる植物なんだぞ。日本のヒイラギは赤い実を付けなくて、黒い実を付けるんだ。
ヨーロッパのホーリーは、正確にはセイヨウヒイラギと言って、モチノキ科に属する常緑樹で、日本にもモチノキやクロガネモチなど常緑で赤い実を付ける仲間がいるぞ。ところが、日本のヒイラギはセイヨウヒイラギと葉の形は似ているけど、全く縁の遠いモクセイ科に属していてキンモクセイの仲間なんだ。
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木偏に冬と書いて柊、これはヒイラギと読むんだけど、これはみんなも知っているよね。じゃあどうして木偏に冬なのかって? 柊の花は、真っ白で清楚な香りがするんだけど、年末から年明けにかけて真冬に咲くんだ。だから冬の木って訳さ。一度よく観察してごらん?
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ヒイラギとセイヨウヒイラギは縁の遠い植物だけど、葉に刺がある以外にも共通点があるんだぞ。それは、どちらも歳を重ねると丸くなるってこと。みんなも最近は丸くなったねえって言われてないかい?
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どういうことかって? ヒイラギもセイヨウヒイラギも年を取るにつれて葉の刺の数や鋭さが緩くなっていき、古木になると全くなくなってしまって普通の縁の丸い葉になるのさ。
人もヒイラギも、歳を重ねるにつれて丸くなっていくもんだよ! ついでにもう一つ。アメリカのカリフォルニア州にハリウッド(Hollywood)という映画で有名な町があるけど、この名前は、ホーリーがたくさん生えていた土地だったからってのは、ちょっと眉唾物だね。

初冬の花、ヤツデ

みんなはヤツデと言う植物にどんな印象を持っているかな? えっ、まさかヤツデを知らない人はいないよね! ほとんどの人は知っているけど、知っていてもそれほど良い印象を持ってる人は少ないんじゃないかな。昔は庭などにも植えられていたけど、日の当たらないジメジメしたところ、特に便所の近くに良く植えられていたもんだよ。
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ヤツデは日本原産の常緑低木で、日陰と湿り気を好むことから、日の当たらないジメッとしたところに植栽されてきたんだね。しかも、深い緑の大きな葉を広げることから、あんまり大きく繁ると家の中が暗くなってしまうからねえ。このような理由で,しばらくは人気もなかったんだけど、最近になって明るい斑入りの葉を持つ園芸品種が出てきて、室内で育てる観葉植物の鉢物として人気が出てきているんだぞ。
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ところで、ヤツデの花はいつ咲くか知っているかい? おっ、さすがムッシュ・フルーリのファンだけのことはあるね。そう、正解! タイトルにもあるとおり、晩秋も終わり、師走の声を聞く頃になると、白い小さな花を咲かせるんだ。一つ一つの花は小さいけど、それがたくさん集まってボール状になり、そのボールがたくさん円錐状に着くものだから、花序全体としては結構大きくて目立つから、みんなも良く目にしていると思うぞ。まさに、初冬に輝かしく咲く花だね。
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じゃあ、どうして寒さに向かう年末に花を咲かせるのかって? その頃になると、他の多くの植物は厳しい寒さに向かって、冬越しの準備をするんだよな。普通なら、生育に適さない冬に向かって、多くのエネルギーを使わなきゃいけない花を咲かせる活動なんてもってのほか! でも、裏を返せば、そのような時期に花を咲かせる植物はほとんどいないってこと。そう、みんなも気がついたね。競争相手がいないから、受粉してくれる昆虫たちを独占できるってことさ。えっ、その時期には昆虫もほとんどいないんじゃないかって? 確かに、春から秋に比べると,昆虫の種類は極端に減るけど、まだまだ多くの昆虫たちが活動してるんだぞ。ヤツデの花を観察してごらん、たくさんの昆虫たちが蜜を吸いに集まっているぞ。
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話はころっと変わって、ヤツデはウコギ科に属しているんだけど、同じウコギ科に属していて,みんなもよく知っているのがキヅタだね。えっ、キヅタを知らないって? キヅタって言うから分からないのかな。では、呼び方を変えてアイビーもしくはヘデラと言えば分かるかな。いろいろな葉の形を持つ蔓性の常緑植物だね。このアイビーは,見かけは全然違うけど、ヤツデとは非常に近縁なんだぞ。
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その証拠に、ヤツデとアイビーを交配した合いの子が観葉植物として売られているんだ。「ファツヘデラ」って言う名前を聞いたことがないかなぁ? ヤツデをぐっと小さくしたような葉を付けた蔓性の植物なんだけどね。へゴ棒に這わせた鉢物として春から初夏に出回っているから,園芸店を良く注意して見てごらん!
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(ヤツデの属名がFatsia、アイビーの属名がHedera、これを掛け合わせたから両方の名前をとってFatshederaファツヘデラって名付けられたのさ)

これは果実それとも種子?

以前、花の構造を説明したときに、雌しべの元の方にある子房という、将来種子になる胚珠をまもっている膨らんだ部分があるって話をしたよね。その子房が花の後に大きくなって、その中に種子を含んでいるものを果実って言うんだよ。
みんなが美味しくいただいているフルーツは、ほとんどが果実なんだけど、正確に言うと果実ではないフルーツがあるんだ。今回はそんなフルーツの種明かしをしようか。
まずは、みんなに大変人気のあるイチゴはどうだろう? イチゴは果肉の表面に種がいっぱい付いてるよね。でも、よく考えてごらん。果実の定義は子房が花の咲いた後に大きくなって、内部に種子を含んでいるものだから、果肉の表面に種がくっついているようなイチゴは、定義に反していると思わないかい? おかしいよね。では、種明かしをしようかな。

イチゴの果肉は実は子房が大きくなったものではなくて、花托(または花床)と呼ばれる花柄の先端の花が乗っかっている部分(花の土台)が大きくなったものなんだ。イチゴの花の構造を写真でよく見て考えてごらん。花の中心部に丸く盛り上がった部分(花托)があって、その表面にたくさんの雌しべがあるよね。もちろんその雌しべの一本一本の根元には1つの子房があるので、言わば、花托の上にたくさんの花が乗っかっている状態なんだ。そして花が終わった後に丸く盛り上がった部分、すなわち花托がどんどん大きくなっていくんだ。そうすると、その表面にある数多くの子房が少しばかり大きくなった果実(みんなが種だと思っている部分)を乗っけた形で、あのイチゴの形になるんだぞ。
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(中心の丸く盛り上っているのは花托で、その表面にたくさんの雌しべが乗っている)

さあ、おさらいをすると、イチゴの果肉は花托が大きくなったもので、その表面に果実(一見すると種子のように見える)がたくさん乗っかっているんだね。だから、イチゴの種というのはあのつぶつぶの中に一粒ずつ入っているんだよ。種のように見えるものは内部に種子を含んでいる果実なんだね。
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イチゴのように、一見、果実のように見えるけれど、子房以外の部分が生長して果実の主要部分となるようなものを偽の果実という意味で、偽果(ぎか)と呼ぶんだぞ。それに対して、子房が大きくなった中に種子を含んでる定義通りの果実を真果(しんか)と呼んでいるんだ。

では、もう一つの事例を見てみよう。次のフルーツはリンゴだぞ。 えっ、リンゴは花の後に子房が膨らんで中に種を含んでいるから、定義通りの果実、すなわち真果だろうって? そう思うのは素人の浅はかさ! そうは問屋が卸さないってもんさ。結論から言うと、リンゴやナシのようなフルーツは、イチゴと同じ偽果と言うグループに入るんだぞ。じゃあ、どこが真の果実ではないかって言うことだね。これも、花の構造と花が咲いた後の大きくなる課程を観察するとよく分かるぞ。
リンゴの花をよく見ると、雌しべの付け根にあるはずの子房が見えないんだよ。これは、写真の蕾を見てもらえれば分かると思うけど、萼の下あたりが膨らんでいるだろう。実はここの中に子房が隠されているんだよ。そして子房の周辺には花托と呼ばれる部分があり、がっちりと子房を守っているんだ。
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(表面上子房が見えず、萼の下部が膨らんでいる部分に子房が収納されている)
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リンゴの花が終わると、もちろん子房は大きくなってくるんだけど、それ以上に子房を取り囲んでいる花托が大きく成長して、リンゴの果肉に当たる部分となっていくんだ。だから子房の大きくなった本当の果実はみんなが捨ててしまう芯の部分なんだぞ。
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(中心部の線の内側、通常芯と呼ばれているところが、子房が肥大した部分に当たる)
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分かったかな、リンゴと同じような構造の偽果は、ナシ、ビワなどがあるぞ。これに対して、ウメ、モモ、カキ、サクランボなどは子房だけが大きくなったフルーツだから、真果なんだぞ。 どうだい、勉強になったろう?