レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

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操発スタジオ*トピックス

山田錦と出会って、酒蔵の方々と出会って

2019/4/17 New

およそ3年前、「食から学ぶ震災の記録」という本を作っている時、神戸の中心部が地震ですっかり機能を失ってしまった日、西区、北区から農家の女性たちがすぐにたくさんのおにぎりを作って、連日山を越え届けてくださったという話を聞かせていただき、そのすばらしいパワーに胸を打たれました。その中に酒米・山田錦を作っているというご夫婦がおられたのです。今まで知らなかった兵庫県の日本酒のことに興味を持ったきっかけでした。
あの震災は灘の酒蔵にも大きな打撃を与えました。たくさんの命と蔵の歴史がなくなりました。そして日本酒は今新たな時代を迎えようとしています。
本を作るため農家の方のお話を伺い、酒米・山田錦がいかにすごい力を持っているかを知りました。県の方がその種をどんな思いで保存され、受け継がれているか。まさかの「一子相伝」と伺い、その勤務の姿に頭の下がる思いでした。
いよいよ撮影が始まったのは暑い盛り。やがて秋が過ぎ、最後は寒さが厳しくなる頃までの長丁場でした。そして再び春、桜の中でこの原稿を書いています。足掛け3年が経ちました。30もの蔵のオーナーが、お顔写真とともにインタビューに応じてくださった本は今までなかったそうです。
この本を通して、何も知らなかった私が日本酒を学ばせていただいた道のりは、日本の文化や昔の人の生き方に触れ、心耕す学びの日々でもありました。
ワインにはマリアージュがむずかしいとされる食材のほとんどを日本酒はぴったり受け入れてくれます。酸味や苦みもおもしろいように・・・。世界のソムリエさん達も、日本酒を勉強しています。近頃は山田錦の田んぼにドローンが飛び、海外から大勢の人が見学にきています。新しい時代が来たのです。
日本の食卓は豊かです。「食は人を近づける」といつも信じている私。どうぞこの本が次の世代の方たちの役に立ってくれることを願います。
この本は近い将来、英・仏語の翻訳版も出版されることになっています。
感謝を込めて
白井 操

「兵庫の酒がつなぐ30の物語~この土地に米と酒あり~」は4月19日に発売予定です。
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