レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

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西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2019.4.19 白鶴酒造株式会社 代表取締役社長 嘉納健二さん

2019/4/23 

灘五郷を代表する酒蔵として全国に知られる白鶴酒造株式会社。今回のゲストは代表取締役社長の嘉納健二さん。まずは映像で白鶴酒造のご紹介から。「昔の酒造りの様子が映像で残っているのがすごいですね。」「これは昭和3年に記録用として撮影されたもの。当時は全てが手作業でした。今は機械で運んだり、木の棒も空気抜きができるステンレスの棒に代わったり。機械化してもやっている作業は同じというのが面白いところです」。
江戸中期1743年の創業から11代目。「20代の若さで社長を引き継がれて、トップメーカーを維持するというのは大変だったでしょうね。」「現場ではデータや資料がきちんと継承され、伝統は口伝えで脈々と受継がれています。蔵で働いてくれる皆さんやお酒が好きで飲んでくださるお客様に支えられて今があると思います。」「白鶴さんは『まる』のような気軽に楽しめるお酒からこだわりのお酒まで幅広く造ることができるとても貴重な存在、すごいことなんですよと他の蔵の方が言われていました」と白井。

私設の白鶴美術館は白井のスタジオのすぐ近く。「実はご近所なんですよね。もう20年以上も前かな、『白鶴通信』でレシピ提案させていただいたのは。」「酒に合うのは塩辛いものとされていたのが、食事にお酒を合わせる時代になってきた頃です。日本酒と相性の良い食の提案を豊富にいただいて、それを広めたいという思いがあって。」「日本酒はワインより受け入れる食材の幅がずっと広い。苦みや酸味も引き受けてくれますよね」。
春の苦みを残した蕗の出汁浸しとカカオ70%のモンロワールのビターチョコレート、つくしの干菓子の3品を試食に。ペアリングを楽しむためにご用意くださったのは「超特撰 天空 袋吊り 純米大吟醸 山田錦」。「吟醸酒用に酒米を38%まで磨けるようになったのは昭和に入ってから。吟醸用の酵母も発見から100年ほどです。吟醸酒の歴史は創業からの歴史を考えるとまだ浅い。天空は全て手づくり。搾ることはせず、もろみを袋にいれて吊るし、雫だけを集めました。」「大切に味わいたいですね。」「酒好きな人が飲むのにはぐい飲みのような大きな器もいいですが、もともとお酒は神様への捧げものを神様がお酒にして返して下さったものと考えられてきました。直会のように盃で少しずつ飲むものです。口に含んで広がる味わいを楽しんでください。」「おいしい!ふくよかってこういう味をいうのかな」「淡麗・辛口にも魅力がある、でも甘味を感じるのが日本酒の良さ。これからは器の提案もしていきたいと思っています」。

今後を聞かれて「日本酒には伝統的というイメージを持たれがちですが、まだまだ進行形だし、開発の余地やおいしい要素を引き出す方法はあると思っています。新しい酵母を使って、レモングラスのような香り、柑橘の香りとほろ苦さ、熟した果物のような風味を持つ3つの日本酒を企画し、買ってくれる人が集まったら造るというクラウドファンディングを成功させた若い社員のチャレンジも」。この取り組みは話題を呼び、今日の毎日新聞に掲載されたそう。
独自に開発した酒米「白鶴錦」の田植えツアーや、社屋の屋上に田圃を作り小学生の校外学習など食育も大切に。「お酒は米作りから始まっています。お酒が工場で造られるものと子供たちが思ってしまわないように」とその思いを。

「5月1日に搾る『令和 初しぼり』。日本の新元号を祝うのにはやはり日本酒がいい。身近にある灘五郷の酒で、地元の美味しいものや旬の味をゆっくり楽しんでいただけたら嬉しいです」と笑顔で締めくくられました。大吟醸をじっくりと味わいお客さまも大満足。日本酒のこれからがもっと楽しみになったひとときでした。兵庫県の30の蔵元が集い新元号を日本酒で祝う前夜祭も西宮阪急で開催予定です。(文:土田)

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