レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

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西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2019.2.22 株式会社小田垣商店 常務取締役 小田垣 昇さん

2019/3/4 New

「丹波黒といえば」とその名を知られる株式会社小田垣商店の常務取締役 小田垣昇さんをゲストにお招きしました。「享保19年、1734年に鋳物商として創業し、明治初年に種屋に転業しました。当時あまり知られてなかった黒豆にいち早く目を向け、こんなに大粒で美味しい黒豆を多くの方に広めたいと『穫れた分は全量買います』と黒豆の種子を売り、作り方を教え、黒豆を手選りし販売したのが始まりです」。黒豆の最高級品種『丹波黒』扱う老舗として料亭などから信頼を集めます。
「お正月に黒豆を自分で炊いている人は?」白井の問いかけに会場は予想以上の手が上がりました。「わぁ、うれしい」。試食は「黒豆のすはま」を。「黒豆の甘煮をつぶして、きな粉と煮汁を加えて丸めただけ。まぶしたのはきな粉とグラニュー糖。他は何にも入ってないのよ。黒豆のおいしさがふわぁと・・・ね?」。きな粉も黒豆のものを使って。

「すべて機械化できる黄大豆と比べて、丹波黒豆は同じ面積なら手間は7倍、収穫量は半分と言われます。黒豆は機械だと皮が薄くてキズがつくので、木の根本から手作業で刈り取ります。脱粒機にかけるのも1本ずつ。ゆっくり自然乾燥させて、職人が手で選別します。畑で完熟を待って収穫すると12月の新物に間に合いません。年末に新物として出すためには黒豆が完熟する前に収穫しなくてはなりません。一方、前年産の貯蔵品は完熟させて低温貯蔵し次の年末を待ったものが出回ります。それが一番おいしい黒豆です。」「へぇ。おいしいのも、お値段も納得しました」。去年は7月の豪雨で畑が全部水に浸かってダメになってしまい、すぐ蒔きなおした後も3つの台風の直撃と9月の長雨で、例年の3割程度の収穫がやっとだったそう。「異常気象の中『丹波黒』を守っていくのは大変なこと。私たちも次の世代に地元の在来種の良さを伝えたいという気持ちになりますね」。

「食」をテーマにしたイタリア・ミラノの万博にも兵庫県を代表して出品された『丹波黒』。「『見た目と食感はオリーブ、味わいはマロンのようでおいしい』と現地の評判は上々でした。香港や台湾でも『こんなに大きくておいしい黒豆があるのか』と驚かれました。暑すぎて外で運動できないドバイでは食を通じた健康維持が推進され、黒豆に注目が集まっています。海外ではエダマメが人気。黒豆の枝豆も冷凍して持参しPRしています」。
黒豆の枝豆が出回るのは10月の2週間だけ。「さやに染みがついて見た目が悪いのは黒豆の特徴。おいしくなってきた証拠です。枝付きで出荷するのは鮮度を守るため。かさばりますが枝付きだと1~2日は豆が生きているんです。」「へぇ~!」。

白井から黒豆を使ったレシピも色々とご紹介。「節分豆のように煎った黒豆はそのまま料理に使えて便利。そのまま煮物やご飯と一緒に炊いても柔らかくおいしくなります。黒豆は水煮にして冷凍ストックに。昔からあるもの、体にやさしいものを心がけて食べていきたいですね」。
「ご家庭では野菜室での保管をおすすめします」と小田垣さん。「黒豆は他の乾燥豆に比べて水分が2~3%水分が多くカビが来やすいんです。ハサミで切ってみて内側にカビが回っていなければ乾布巾でカビをふき取り、加熱調理を。数年経った乾燥黒豆も見た目に問題がなければ、時間をかけて炊くと柔らかくなります。」と会場の質問に答えて。「大豆ファーストと言って、食事の最初に食べると野菜と同じように血糖値が上がりにくい効果があるそうです。良質なたんぱく質だけなく、黒豆には皮の色素にアントシアニンもたっぷり。お正月だけでなく1年を通じて召し上がって欲しい。」と最後に。お客様からも「黒豆が身近になりました」と嬉しいメッセージがたくさん寄せられました。
 (文:土田)

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