レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2018.11.30 小西酒造株式会社 代表取締役社長 小西新太郎さん

2018/12/13 

西宮阪急10周年を祝う鏡開きに使われた清酒白雪の酒樽。今回はその蔵元小西酒造株式会社代表取締役社長 小西新太郎さんをゲストにお迎えしました。「阪急さんとのご縁は小林一三さんの鉄道事業に私の祖父が協力したことに始まります」以来、八坂神社の積み樽やタカラジェンヌの鏡開きなども白雪が使われているそう。

清酒発祥の地として知られる伊丹で1550年に創業され468年の伝統を誇ります。「江戸時代からの酒造りのレシピは古文書として全部残っています。1702年赤穂浪士の頃の酒を再現した『白雪江戸元禄の酒の熟成古酒』がブリュッセル国際コンクールの日本酒・熟成古酒部門でプラチナに選ばれました。チーズに合うと外国人審査員に支持されたそうです」。技術者とともに古文書を読み解く勉強会に参加され復活した家伝のレシピは、精米歩合88%、汲水歩合は今の半分のまったりとした味わい。「座右の銘は『不易流行』。変えないもの『不易』がこの『江戸元禄の酒』、時代に合わせて変えるもの『流行』は、香りを楽しみ、飲みやすく仕上げた『吟醸ひやしぼり』のような商品。伝統を守りながら、時代に合わせて変えるべきところは変える。常にそうありたいと思っています」。

試飲は4年連続「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で金賞受賞の「吟醸ひやしぼり」と「大吟醸生原酒」を。「飲み口が少し広がったこの試飲容器もいいですね。地元の酒器・酒盃台展も応援されています」と白井。「私は酒の味わいは酒器で変わると思います。盃に口を寄せて飲むと舌の上でふわっと広がる。グラスを傾けて喉に流し込むとそれがないんです。特に燗酒にはこれが大切。火鉢やストーブとともに燗酒も消えつつあるのが残念。座敷では上から手に取るので盃は使いよく、カウンターでは横から酒器を取るので酒盃台が機能的です。燗酒や、酒器や酒盃台を選ぶところから楽しみが始まる日本の酒文化の豊かさと伝統的な陶磁器の良さを今の人に伝えたいですね」「小さめの盃で少しずつ味わうのが日本人の体質にはよく合うのかも知れませんね」。
蔵元として日本酒を含む世界四大醸造酒であるビール、ワイン、紹興酒にも深い関心を寄せておられ、30年前からベルギービールの輸入、24年前には清酒酵母を使ったビールづくりを開始。10年前からは広島でワイン作りも手掛けておられます。そんな醸造酒を料理とともに楽しむことができる、古い酒蔵を改造したレストラン「白雪ブルワリービレッジ長寿蔵」は毎日お客様でにぎわいます。「紹興酒も作りたかったのですが、菌がすごく強くて日本酒が作れなくなると技術者に言われ断念しました」と笑顔で。
今日の試食は「剣先いかのほろ酔い漬け」。「塩と酒にくぐらせた鮮度のよい剣先いかを、酒粕と白味噌の床に漬けました。おせちには少しあぶるといいかも。西宮阪急で一番よく売れているのが白雪の酒粕なんですって」。原料の米からこだわり、添加物を使わず、おかき職人が炭火で焼き上げた「京都祐喜」のおかき2種とともに。おかきは西宮阪急白井のおすすめコーナーでも販売しています。

胸元のカラフルなバッジについて聞かれると「これはSDGs(Sustainable Development Goals)といって企業人が持続可能な開発目標をめざす取り組みのシンボルです。私たちを支えてくださる地域への貢献や環境への配慮を大切にしてこそ長く会社は続けられると思っています。精米の時にでる米粉も、酒粕も捨てるものはひとつもありません」。

長く日本の食文化を担う蔵元としての思いやその造詣を優しい言葉でお話くださった小西社長。米作を担う農家が軽視されている世情を憂い、子供たちがおいしいお米を食べられるようみんなで農業を大切にする努力を、と私たちに語り掛けるメッセージから未来への思いも伝わってきました。                 (文:土田)

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