レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第10話 れんこん

「ムッシュフルーリ 緑の扉」
植物で知りたいことがあるとき、この扉をたたくと「へぇ~っ!」と納得の答えがかえってきます。白井にとって植物の知恵袋ともいえるムッシュ・フルーリ。さぁ、みどりの扉をたたいてみましょう!
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(操さん)
「トントン!空が高いなとか、夕暮れが早いなと思うと、秋においしくなるものをふっと思い出します。夏の終わりから秋にかけて出始める真っ白な新レンコンのシャキシャキと心地よい食感は今味わっておきたいなぁ。今回は、時期によって食感が変わるれんこんのこと、いろいろ教えてくださいな。」

(ムッシュ・フルーリ)
操ちゃん、今年の夏は、異常なほど暑かったねぇ。体調を崩さなかったかい? でも、お盆も過ぎ、9月の声を聴くと、酷暑続きだった日本列島にも、さすがに秋の気配がここそこに感じられるようになったね。

お盆には、仏花として霊前に供えられるハスの花だけど、9月にもなると、「れんこん」の収穫が本格化するんだよな。
ところで、みんなは「れんこん」が、ハスという植物の地下茎だってことくらい知ってるよな? そんなの常識だって? そりゃぁそうだな。 花を観賞するハスとれんこんを収穫するハスは品種が違っていて、これを区別するために、花を観賞するハスを「花蓮(はなばす)」って呼ぶこともあるんだ。もちろん花蓮にもれんこんはできるけど、大きさや食味が適さないんだな。

ハスは、インド原産といわれていて、仏教では泥水の中から生えてきて、非常に美しい清廉な花を咲かせることから仏様の象徴とされ、如来像の台座はハスの花をかたどった蓮華座となってるんだ。また、善い行いをした人は、死後に極楽浄土に往生し、同じ蓮華の上に生まれ変わって身を託すという思想があって、「一蓮托生」という言葉の語源となっているんだぞ。

このハスという名前だけど、昔は「はちす」って呼ばれてたんだ。「はちす」とは、「蜂巣」すなわち蜂の巣のことで、ハスの花の「花托(かたく)」(花柄の先端で、花弁やおしべ,めしべがつく部分のことを言い、ハスでは花の中央にある)が、蜂の巣の形に似ていることからそう呼ばれたらしいんだ。その「はちす」が訛ってハスになったのさ。

さて、そろそろ、食用のれんこんの話をするかな。 ハスは、日本には奈良時代に中国から入ってきたらしいけど、現在日本で栽培されている美味しいれんこんは明治以降に改めて中国から導入された品種を改良したものなんだぞ。日本の最大の産地は茨城県で、国内生産量の半分のシェアを占めているんだ。その次が徳島県、次いで佐賀県や山口県と続くんだけど、わが兵庫県にも小さいながらもれんこん産地があって、姫路市南西部の大津区周辺で大正時代から栽培されてきたんだ。「姫路のれんこん」というブランドで出荷されていて、白くてぽっちゃりした形をしていて、夏から秋に穫れる若いれんこんはシャキシャキしていて生でサラダにもよく、厳冬期に穫れるのはもちもちとして、これまた絶品! れんこん大好き!!
ところで、れんこんには栄養がたっぷり詰まっているんだけど、まずは、ビタミンCが豊富に含まれていて、デンプンに守られているので、加熱しても壊れにくいのが特徴なんだ。その他、ビタミンB1・B2に食物繊維、カリウム、鉄分、さらにはポリフェノールなど、たくさんの栄養素が含まれている素晴らしい食品なんだぞ。

ところで、れんこんを切るとねっとりとした糸を引くよね。これは、れんこんに含まれる「多糖類」というもので、同じくねばねばしている山芋やオクラ、モロヘイヤにも含まれているんだ。この多糖類には消化を助ける働きがあり、さらに細胞を活性化させて老化を防いでくれるという働きもあるんだぞ。どうだい、れんこんはすごい能力の持ち主だろう?
これだけの栄養素を含んでいるんだから、あとは料理の腕次第だな、操ちゃん!

さあ、ついでにもう一つ。れんこんには穴が開いているよな。大体大きな穴が10個あるようだけど、どうして穴が開いているか知っているかい?

この穴は、水上につきだしている葉っぱの中央部分とつながっていて、空気の通り道になっているんだぞ。水中では、根から酸素を吸収することが難しいので、この穴を通して根に酸素を送っているんだ。この仕組みを利用して、今でも、象鼻杯(ぞうびはい)といって、ハスの葉に入れたお酒を葉柄から吸い込んで飲むという行事が行われてるんだ。ハスの葉を手に入れて一度試してごらん!

(操さん)
「象鼻杯なんて風流ねぇ。シャキシャキしているのに旨みが感じられて、ねばりもあるれんこん。季節を追いかけながら、部位を変えて味わうと、なおのこと面白い素材です。すり下ろしてだんごにしても、ただ焼いてもおいしいんです。ムッシュ・フルーリにもぜひ味わってもらいたい二つのレシピをご紹介します。」

「れんこん団子」レシピはこちら> 

「れんこんのフライパン焼き」レシピはこちら>

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