レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

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西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2018.7.20 株式会社やまつ辻田 辻田浩之社長

2018/8/3 New

今回は株式会社やまつ辻田の辻田浩之社長をお迎えしました。この夏も御岳山の溶岩で作った特別な石臼とともに、とっておきの山椒を携えて土用の時期に来てくださいました。会場に漂う山椒の香りがなんとも爽やか。
「4月~5月に出回る山椒は芯が柔らかいので実山椒として、そのまま10%の塩水で湯通ししたものを冷凍すれば冷凍庫で1年以上大丈夫。芯が固くなる7月、8月頃のものは粉山椒に。陰干しして芯を抜いて皮だけを粉にします。芯抜きはとても手間がかかる作業。品質のよい山椒は数が少ないんです」。実山椒には兵庫・朝倉が発祥とされる朝倉山椒、粉山椒には和歌山のぶどう山椒が一般的なのだそう。加工のしやすさ、色の美しさが特長のぶどう山椒は華やかに香るものの香りが長続きしない難点も。今回は希少な山朝倉という品種の新ものを特別にご持参くださいました。「感性が豊かな人がこの山椒を知ると一生忘れられない別物。ブレンドして使う楽しさや、実山椒としての面白さもある世界一の品種です」。試食は淡路島・井上商店の人気のミルクアイス「淡路島の恵み」に山朝倉の粉山椒をパラリとかけて。「山椒はちょっとようけ目にかけてください。山椒の奥の余韻を楽しむように味わってもらえたら」。新しいアイスクリームの風味と味わいにお客さまも「へぇ~っ!」と納得。

「痛覚を刺激するという山椒の特質は辛いとか甘いとかあらゆるものの旨みを倍加するということ。テレビを観ていたら、世界で活躍する日本人のジェラート職人がチョコジェラートにウチの粉山椒をかけていました。イタリア人の職人にも山椒を紹介して『チョコの旨みだけで食べられる、砂糖がいらないくらい』と盛り上がっていました。」「和食のブームで、日本の食文化の象徴としてお茶やわさび、山椒が特に世界から注目されていますね」と白井。
山椒が3、塩が1の割合で合わせる山椒塩は、減塩にも役立つすぐれもの。ステーキ、唐揚げ、天ぷら、焼き鳥、鴨、ポテトチップスなど、なんでもおいしくしてくれるのだそう。「焼き肉のタレや餃子のタレに粉山椒をたっぷり入れるのもおすすめ。素揚げした野菜の甘酢あんかけに青くなるほど山椒をふって。油に溶けるので、たっぷりかけても大丈夫です。今夜鰻を食べる方はこの山椒をバサッとたくさんかけてください。山朝倉は5kg収穫しても選別して商品に使えるのはたった2kg。本当に希少なんです」。

「挽いてすぐのものが一番」その言葉通り、商品はすべて袋詰めのタイミングに合わせて調合されたもの。「買ったら、開けても開けなくても冷凍庫で保存。光・空気・温度が鮮度を保つ条件です。」「パッケージがはがきになっているのも素敵ですよね。この暑い時期にハガキで送っても大丈夫?」「すぐ冷凍庫へと一言書き添えてもらえたら、おいしく使ってもらえます」。今回は国産鷹の爪純粋種と山朝倉山椒100%を使った特別な暑気払いの大辛七味をひとつずつおみやげに。
「他に追随できないものを作るのが自分にとって特別な面白さを感じること。山朝倉のこの香りの力に世界の一流シェフも気づき始めました。山椒のすばらしい香りに出会った感動を家族や友達に伝えてもらえたら嬉しいです。」柔らかくすっと伸びた背筋から、剣道の道場を主催し自らも八段昇格を目指し日々研鑚を積まれる姿が垣間見えます。そのたたずまいと山椒の香りに何より暑気を払われたひとときでした。
(文:土田)

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