レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第8話 茄子と茄(ナスとナスビ)

「ムッシュ・フルーリの小さなお話のタネ」
ムッシュ・フルーリは植物にとても詳しい白井の知恵袋ともいえる方。知っているだけで道端の草花や公園の並木など見慣れた季節の風景がキラリと輝く、楽しいお話のタネをどうぞ。
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(操さん)
「トントン!最近は紫だけでなく白いものも見かけるようになったナス。一年中スーパーに並んでいるけど、夏になると水ナスや賀茂ナスなど、いろんな品種に出会って、旬の訪れを感じます。ナスのこと、いろいろ教えてくださいな。」

(ムッシュ・フルーリ)
ナスとナスビ、みんなが住んでる地域ではどっちの呼び方なのかな? これを調べた人がいて、新潟、長野の愛知県を境に、東が「ナス」、西が「ナスビ」が多いらしいぞ。でもなぜか北海道は「ナスビ」って呼ぶ人が多いんだって!?
基本的に関西圏は「ナスビ」って呼ぶみたいだな。関西では女性言葉として、さらに「お」を付けて「おナス」って呼んだりもするよな。

さてこのナスビ、原産地はインドの東部らしいんじゃが、ずいぶん古くに東南アジア、中国を経由して日本に入っていたらしく、平城京の長屋王邸から出土した木簡に『加須津韓奈須比』との記述があるそうじゃ。これは何かって? これは、粕漬けナスビと読むんじゃと。また、正倉院文書には、『茄子』という文字が多数みられるようじゃな。ということで、奈良時代にはすでにナスビの栽培が行われてたようなんじゃな。
もともと生まれが熱帯地域なんで、夏の暑さと日光が大好きで、日本の夏の気象条件にぴったりだったから、夏野菜として普及していったんじゃな。さすがに千年も昔から栽培していると、地域ごとに独特な品種が生まれてるんじゃ。大まかに言って、南の方ほど大きくて長い実で、北方ほど小さい実となる傾向なんだ。これは、北の寒い地域では、栽培期間が短いために、大きな実を収穫することが難しいのと、冬の保存食として小さい実のほうが漬物に加工しやすかったからなんじゃ。
 (日本各地で栽培されているナスビ 農林水産省HP)

日本のナスビは基本的に濃紫色をしておるが、世界に目を向けると、欧米の品種は真っ白や緑、薄紫に縞模様や霜降り模様など、様々な色や形があるんじゃな。
栄養的にはこれといって注目すべき成分はないようだけど、淡白な味で他の食材とも合わせやすく油との相性がいいんじゃな。だから、煮る、焼く、揚げるとあらゆる方法で調理されていて、夏野菜としてはなくてはならんもんになってるじゃろ。しかも、日本料理だけじゃなく、中華料理やイタリア料理など、世界中の料理にも使われていて、どんな料理にも合う野菜なんじゃ。
 (世界中のナスビ)

ところで、みんなは「秋茄子は嫁に食わすな」っていう諺をよく知っているよな。これは、鎌倉時代の和歌集『夫木和歌抄』にある「秋なすび わささの糟に漬けまぜて 嫁にはくれじ棚におくとも」という歌がもとになっていると言われていて、嫁を憎む姑の心情を表しているらしいが、その解釈には諸説あるようじゃの。
また、「親の小言と茄の花は千に一つの無駄もない」っていう諺は知っているかい?これは、ナスビの花が結実する割合が非常に高いことに、親の小言を喩えたものなんじゃ。親のの言うことは、しっかりと聞くもんじゃぞ!

(操さん)
「へぇ~!古~くから、食べつがれてきた、日本人にとって身近な野菜だったのね。ちなみに私は「なす」と呼んでます。スタジオの夏の定番ともいえる「なすうどん」。皮をむいた茄子のヒスイ色がなんともきれいで、つるんとしたのど越しも魅力なんです。残った皮は3つに切って、ごま油と塩少々をふって、レンジで軽くチン!サラダや和えもの、炒飯にちょっとプラスして。上手に使い切ってくださいね。」
「なすうどん」のレシピはこちら>

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