レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

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西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2018.5.21 浦野醤油醸造元 五代目当主 浦野惇美さん 浦野敦子さん

2018/5/23 New

今回のゲストは「にじいろ甘酒」を手掛ける浦野醤油醸造元の五代目当主浦野惇美さんと六代目のお嫁さん・敦子さんのお二人。福岡・豊前市で江戸時代から150年続く老舗です。

まずは麹作りの話を浦野さんから。「米は前日から水に浸けて、翌日の午前中に耳たぶほどの柔らかさを目安に釜で蒸します。35℃まで冷まして麹菌をふりかけ室で寝かせます。一日目はストーブをたいてやり、35度程度を保ってやると、あとは発酵熱を出しながら麹菌が繁殖していきます。2日目以降は自分の発酵熱でどんどん温度が上がりますので、その熱で菌が死んでしまわないようほぐしてやり、適温に保つよう世話をしてやります。3日目には、びっしりと白い菌糸がお米を覆って完成です。」原料には福岡産の「夢つくし」を。100㎏単位で作る重労働で、特に夏は暑くて大変だそう。「米麹は見た目に白いものを、乾燥よりは生麹がおいしいと思いますねぇ」と浦野さん。米麹の保存は密封して冷凍がおすすめと教えてくださいました。
「お父さんは『何でもやってみろ』という精神の持ち主。嫁に来た頃はまだ発酵ブームではなく、甘酒を飲んだこともありませんでした。仕込み方、飲み方はお母さんに一から教わりました。こんなにいい材料を使って、こんなに手間暇をかけて・・・と分かってくると、すごく愛着が湧いてきて・・・。」醤油が売れにくくなった蔵のピンチの頃にお嫁にきた敦子さん。最初は苦手だった甘酒を「誰でも飲みやすい味に」と一生懸命、試行錯誤を重ねた末に生まれた「にじいろ甘酒」。基本の「米麹」と「発芽玄米」、「博多あまおう」の3種の甘酒を試飲に。

「発芽玄米」は食感を少し残してコクと噛みごこちを楽しんでもらえるように。人気の「博多あまおう」は地元農家が大切に育てたあまおうをふんだんに使い、あまおう独自のほど良い酸味と香りが冴える爽やかな甘酒。「ブルーベリー」も福岡産のブルーベリーを皮ごと細かくつぶしてたっぷり使いました。小豆は北海道産のものを柔らかく炊いてしっかり糖化させて甘酒に。ほっこりとした味わいは赤飯のよう。「自然の色や香りを生かしたものを作りたかった」それぞれに敦子さんの思いが込められています。
「甘酒はジャムのような感覚でヨーグルトに入れたり、すり鉢でなめらかにした甘酒と醤油、味噌やゴマを混ぜて焼肉のたれに。市販のたれと混ぜても。味噌生姜焼きの隠し味に使っても。甘酒は夏の季語。ビタミンB群が豊富で昔から鰻と並んで暑い夏の栄養源だったそう」と白井。「夏はそのままジッパー袋に入れて冷凍するとシャーベットに。豆乳を少し加えてもうまくいきますよ。麹から作る甘酒はアルコールを含まないので子供さんでも大丈夫」と敦子さん。料理やおやつに使い方はいろいろ。

最後に「私の曽祖父が村の庄屋に麹室を建てさせて欲しいと申し出た古文書が今も残っていて、見ると曽祖父の情熱が伝わってきます。それを受け継ぐ者として原点の麹造りをきちんと息子たちに伝えなければと思っています。人よし、社会よし、自分よしの理念を持って、体に優しいものを商っていきたい。いい嫁を連れてきてくれた息子にも感謝だな。」と浦野さん。敦子さんと実の父娘のように仲の良いご様子から福岡で待つ奥様の典子さんと六代目雅人さんとの温かな家族の絆が伝わります。「今ここでお話していることも、カタログの写真をみても、今まで想像もできなかったことばかり。家族みんなで感謝しています。このチャンスを生かしきるように力を合わせて頑張ります。」敦子さんの言葉に浦野さんもにっこり。会場からの拍手がエールのように響きました。

試食はもう1品。奈良・吉野のはやし豆腐店の「ざる豆腐」を。にがりを極限まで減らし、吉野の名水を使った豆腐は格別。ギフトには葛がたっぷりのごま豆腐やひろうす、お揚げとセットになっています。                     (文:土田)

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