レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

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西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2017.7.7 落語作家 小佐田定雄先生

2017/7/11 

柔らかな大阪弁で語りかけられる小佐田定雄先生は、桂枝雀師匠やざこば師匠、南光師匠、文珍師匠、笑福亭鶴瓶師匠と名だたる落語家の新作落語を手掛ける落語作家の第一人者。「忙しい中に何か小さな笑いをみつけてはふふっと一人笑ったり、誰かに話して一緒に笑ったり、人ってそんなことで頑張れるでしょ?」と白井。「あんまり思い詰めないのが落語。本人同志は真剣に怒っている喧嘩も、ちょっと引きでみると笑えるんです。聞いてみると大人が水無月のどっちが大きいかで揉めてるというような・・・」と小佐田先生。

「すごく売れているような芸人さんほど暗いって本当ですか?」「明るくて自分が楽しいという人より、何が面白くないかを知っていて、周りを楽しくすることをいつも黙~って考えているような人が多いですね。」「なるほど。落語家さんは落語を全部暗記しているんですか?」「長いものでも一言一句変わらない春団治師匠のような方もおれば、米朝師匠のようにいくつかポイントは押さえながら間は自由に話されたり、人によりけりですね」。長いものは1時間を超えるという落語の演目。いつでも演じることができる落語を多ければ60ぐらい、普通でも10は持っていて、お客さんの反応や前後の演目とのバランスを考えて落語会の当日に演目を変えたりすることもあるそう。
「枕といわれる最初のお話から本題の落語に入る時に羽織を脱がれますね。すぐ脱ぐのにみなさん羽織を着ておられて・・・」「羽織はお客様への礼儀。脱ぐのはいつでもいいんです。落語によっては途中で羽織を使うものもあって、枝雀師匠が脱ぎ掛けて、さりげなくまた羽織るのを見かけた事があります。」「枝雀さんの枕で、地球が滅亡して月に移住することになり、全員行けないので偉い人が来て選別を始める話が忘れられなくて。大工さんとか、お医者さんとか次々選ばれて行く中、「隅でワイワイしゃべってるあれは誰ですか?」「噺家です」「彼はいりません」と。私の料理研究家という仕事もいざとなると「イラナイ」の方だな~って笑えてきて。」「枝雀師匠は発想が独特。動いてる地球から動いてる月へロケット飛ばすなんて無理。舟から岸に上がるだけでもこけるのに・・・とかね。落語家さんの個性が一番出るのが枕で、ざこば師匠や鶴瓶師匠は当日あったことを即興でそのまま枕の話題に使うてます」。

聞き手の想像の中で話が進むため、登場人物は多くて同時に3人ぐらいまで。声色は変えずに間としゃべり方で演じ分ける落語。偉い人は上手にいる設定で顔の向きを変えるのが原則。「落語の台本はラクですわ。衣装やら、どこへはけるとか、考えんでええんで。」と小佐田先生。自分に起きたことを面白く話す私落語や、昔の言葉でそのまま演じる古典落語、時事ネタを盛り込んだ創作落語など、落語もジャンルは様々。「師匠から教わってまずは継いでいく、自信がついて初めて、時間をかけて自分の色にしていくんです」。人から人へと受継がれ、現代に語り継がれた落語。今、桂かい枝師匠と取り組まれているのは「古墳落語」の発掘。話は伝わっていないが古い文献にタイトルだけが残っている落語を見つけ、タイトルから想像して落語を創作して演じるというもの。「『屁臭最中(へくさのさいちゅう)』とか『ほたへちや』とか、要は内容がおもろしろくなかったんでしょう。『ほたへちや』は『ほたへち屋』なんか『ほたえ茶』なんかもわからないんです」。能や文楽、落語など古典芸能の垣根を超えて誰もが親しめる試みにも取り組まれる小佐田先生。「一ぺん舞台に来てみてください。きっと気楽で『な~んや』って思うぐらい。生の舞台は風がきて空気が日常とちょっと違う。ほんまは暇やから聞きに行くでええんです。」落語はまず楽しむもの、そんなメッセージがふんわり伝わってきました。
(文:土田)

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