レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

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西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2017.5.12 株式会社神戸酒心館 代表取締役社長 安福武之助さん

2017/5/18 

今回のゲストは阪神大震災で大打撃を受けた酒蔵を立て直し、海外での日本酒ブームの火付け役ともなった株式会社神戸酒心館 代表取締役社長の安福武之助さん。ノーベル賞の晩餐会で饗されるブルーのボトルに入った「福寿 純米吟醸」は世界に知られる銘柄に。
「創業は1751年、8代将軍吉宗の頃。それから266年、私で13代目です。震災後『神戸酒心館』として再スタートして20年になります。」

まずビデオで、神戸市北区大沢の酒米「山田錦」と六甲の伏流水「宮水」を使い、手づくりされる酒造りの様子の紹介から・・・。「糖分を持つぶどうから作るワインより、米のでんぷんを糖に変えて発酵させる日本酒は手間がかかるんです。」日本酒は酒米の出来不出来にかかわらず、杜氏の経験と技で毎年一定の品質を保つのが美徳とされ、ワインのようなヴィンテージはない分、杜氏の高い技術が必要なのだそう。
世界から日本酒のおいしさが注目される今でも日本酒業界は厳しいと安福さん。「私が生まれた昭和48年をピークに日本酒の販売量は減って今は当時の34%程。酒蔵の数は約半分です。」大学卒業後大手ビール会社勤務を経て、2003年家業に。78歳の但馬杜氏が酒造りを担い、後継者がない現実を見て、先々もずっと高品質の酒を作るために社員の手で酒を作ろうと決意されます。「まずは杜氏さんが来られた時にあらゆる数値データをとることから始め、だれがどの工程を担当しても失敗がないように工夫を重ね、杜氏の技の再現を目指しました。自信がついた頃、コンクールに出してみたら入賞したんです。」「へぇ~!金賞を何度も受賞されていますね。海外に売ろうと思ったきっかけは?」「ワイン市場は日本酒とは2桁も規模が違います。国内が縮小するなら海外へと。ウチの酒をカバンに詰めて、世界各国へ輸入業者を探す旅に出たんです。海外のワインの展示会で試飲をしてもらうと『白ワインのよう』と反応は上々で、ヒアリングを重ねては蔵での酒造りに生かしました」「ワイングラスで飲むと香りも楽しめますものね」。

本日の試飲も「福寿 純米吟醸」をワイングラスで。安福さんおすすめのマスカルポーネはそのままとクラッカーに鰹節と醤油を少しかけたものとを。鯛の刺身には醤油とオリーブオイル。「日本酒はそのものに旨みをたっぷり含みます。日本酒にソムリエがいなかったのはどんな料理とでも相性がいいからだと思います」。会場からはしばし感嘆のため息が。「このフルーティーでみずみずしい味わいをイメージしていただけるようにと青い瓶をずいぶん探しました」「ノーベル賞の晩餐会でもこの青は目立ってますね。」「東京のイベントで偶然同じテーブルになって意気投合した方がスウェーデンの有名なソムリエで・・・。スウェーデンへの輸出が始まり、魚を食べる北欧の人に日本酒のおいしさを広めたいと思っていたところに、日本人が4人もノーベル賞を受賞したと聞いて、晩餐会用にとテイスティングしてもらい採用が決まりました」「すごい!あなたのそのお人柄が素敵な偶然を招いているような気がするの。」「いえいえ。今はどこの国に行ってもシェフが『ウマミ』という言葉を普通に使いますし、日本酒や日本食に興味を持ってくれています。神戸のお酒が海外でも飲めるのは本当に幸せなことだと思いますね。夏に熟成し9月に出る“ひやおろし”、冬の新酒や燗酒・・・と、それぞれの個性を旬の味に合わせてぜひ楽しんでください」。
地元のお酒の素敵にふれてなんだか誇らしい気分になったひとときでした。

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