レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操発スタジオ*トピックス

昔も、今も・・・

2016/7/1 

昭和14年初版の主婦の友社から出ている「花嫁講座」の料理シリーズは私の宝物です。母や叔母が使っていたらしく時々書き込みもあって、そのまま作ったことは一度もないけれど側にあるだけで何かを教えてくれている気がします。
材料、その後に作り方と書かれたものもありますが、何より頻繁に出てくる「拵える(こしらえる)」という表現が何ともいえずいいのです。

「一度に澤山拵えて(たくさんこしらえて)缶にでも入れて密閉しておけば、急のお客様などの時、ちょっと芥子(からし)和えなどが出来て便利です。」
これは日本芥子を香気よく溶く方法を説明した文章の結びの一文。粉芥子は初めに番茶で固く練り上げ、それを布巾に包んで10分位蒸します。こうするとよい香りが立って溶き芥子の素のようなものができます。それを保存して入用の時に酒か湯で伸ばしていつでも使えるようにするのです。チューブ入りの芥子が販売されるのはまだまだ先のこと。香辛料も手作りする時代、急なお客様でも手作りのもてなしを…。作り方の中に書き手のメッセージがたっぷり入っています。

お鍋の使い方を書いているページには、その時代に使われていた台所の様子もよく分かります。
「アルミニウムの永保(ながもち)法に、アルミニウムの鍋類は軽くて取り扱いに重宝ですが、それだけに損やすい(いたみやすい)ですから、酢の気のあるものや空炒りは絶対にしない方がよいのです。そして料理したものはすぐに他の器に移すことと、洗うにも磨砂(みがきずな)をつけてぎゅうぎゅう擦ったりせずに柔らかい布巾か絲瓜(へちま)に粉石鹸をつけて軽く洗い水気をよく拭きとっておくのが永保(ながもち)の秘訣です。時々コルクに油をつけて内外を磨くとよく光澤が出ます…」。

今の時代活字が多いと料理本は売れないと言われます。語りつくせない料理の多くの作業には、技術の奥に優しさや思いやりのひと枝があるんですよね…。皆さん!
昭和14年の古い本

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