レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2016.1.22 京・南禅寺畔 瓢亭 当主 髙橋英一先生

2016/2/2 

「今日は眼鏡を忘れてこられてしまったそう」白井の紹介に穏やかな笑顔でこたえてくださるのは、瓢亭14代当主 髙橋英一先生。嬉しいことに新年最初のセミナーにお迎えするのが恒例になりました。
毎年このセミナーを楽しみにされている方も多く、ご参加のお客様は高い倍率の抽選に当選された幸運の持ち主。会場からは和やかな中にも期待感が伝わってきます。
「おだしをおいしくお召し上がり頂きたい。寒い時期ですので、すり下ろした聖護院かぶらに、吉野葛でとろみをつけた吸い物です」試食としてご用意くださったかぶらあん仕立ての吸い物は、雲子(くもこ)、身ガニ、九条葱と冬のごちそうに、霰(あられ)柚子がちらされています。
16.1.22瓢亭高橋先生①
「雲子は鱈の白子です。このシワがくっきりして弾力があるのが鮮度の良いもの。2パーセントの塩水に一晩つけて一口大に切って焼いておきます。身ガニは半分に切っておきます。九条ネギは焼き目をつけて二番だしでサッと炊きます。焼くことで香りがぐっと引き立ちます。」二番だしは一番だしをとった残りに一番の7割の水を加え、沸騰したら弱火にしてコトコト20分ほど炊いて濾したもの。白みそ汁など、一番だしでは旨みが濃すぎるものに使われるそう。
毎日8升の水に利尻昆布300gを入れて、65℃~70℃で1時間ぐらい旨みを出して取り出し、火を強めて沸騰する前にまぐろ節350gを加えアクを取って火を止め、20分ほどおいて厚いネルの布で濾すのが瓢亭流のだしの取り方。鰹に比べあっさりとクセがないのがマグロ節で、昆布は塩分が強くならないように流水でさっと流してから使われています。
「吸い物は一番だしに薄口醤油で色と香りをつけ塩で味をしめる」と髙橋先生。塩は天然のものを。海水と同じミネラルが含まれ体にもやさしいと言われます。愛用の伊豆大島の海水で昔ながらの製法で作られた「海の精」を今回もお土産にご用意くださいました。「聖護院かぶらと聖護院大根、全体が真っ白なのがかぶら。首の辺りが少し青くなって、全体に長めに感じられるのが大根と見分けます。すりおろしたかぶらをだしに加えたらアクを丁寧に取り除いてください。」
「柚子は白い部分を取って黄色の皮だけを使った霰柚子にしましたが、白い部分を残すやり方もあります。細く黄色の皮をきざんでも。いろんなやり方で柚子の風味を楽しんでください。」「酢の苦手な方でも柑橘の絞り汁だと食べやすくなります。レモン・柚子・スダチ・ダイダイ・カボスなど3種以上を混ぜ合わせると酸味がまろやかになります。生姜汁を加えてもまた違ったおいしさに。」髙橋先生は惜しむことなく食材の楽しみ方を次々と伝えてくださいます。
16.1.22瓢亭高橋先生②
「苦手だった雲子がこんなにおいしいと思いませんでした」「上品なだしのおいしさを堪能しました」とアンケートにもたくさんの感動が寄せられました。「家庭料理もひとてまをかけるとやっぱりおいしいんです。『きょうの料理』でそのことをお伝えしたら大きな反響をいただき、本にもなりました。」今年もまた大切なことを五感で味わい、心で学ぶ貴重な時間を作ってくださいました。
(文:土田)

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