レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第27話 彼岸花

「ムッシュ・フルーリの小さなお話のタネ」
ムッシュ・フルーリは植物にとても詳しい白井の知恵袋ともいえる方。知っているだけで道端の草花や公園の並木など見慣れた季節の風景がキラリと輝く、楽しいお話のタネをどうぞ。
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秋の彼岸になると決まって田園地帯に咲き乱れる、その名もずばりヒガンバナ(彼岸花)。黄金色に項垂れた稲穂と深紅のヒガンバナのコントラストがすばらしく、日本の原風景としてみんなの脳裏に刷り込まれているよね・・・・・、
実は、この両者はいずれも有史以前に大陸から運ばれてきたものなんだよ。イネが大陸から運ばれてきた理由は言わずもがなだけど、ヒガンバナが運ばれてきた理由とは・・・・・色々と説はあるようだけど、説得力のあるのが、ヒガンバナは救荒作物という説なんだ。すなわち、飢饉の際に食用にするための作物ということさ。
ヒガンバナは地下に球根があるのは知っているよね。その球根にはデンプンが蓄えられているんだけど、リコリンなどの有毒成分を含むので、通常は食用にはできないんだ。でも、いざというときには、球根を摺り下ろし、綺麗な水で十分晒すと、有毒成分は溶け出してデンプンだけが残るって言うわけさ。水田の畦に生えているのは、その有毒成分を利用して、モグラなどが穴を空けて水が抜けたり、畦が壊れたりするのを防ぐために、人が植えたものだったんだね。もちろん子供たちにも、毒があるから触っちゃダメだよと言って、球根を掘り取られないようにしていたんだな。毒とデンプンを利用するという一石二鳥を狙った先人の知恵だね。
じゃあ、どうしてヒガンバナは秋の彼岸に咲くのかって? ヒガンバナは、別に秋の彼岸に併せて咲いているのじゃなくて、たまたま花の咲く時期がお彼岸にぴったり合っていただけのこと。ヒガンバナは、他の植物とはちょっと違った生活習慣を持っているのは知っているかな? まず、秋の彼岸頃に地下の球根から花茎を伸ばして、てっぺんに深紅の花を咲かせるよね。その花が終わる頃に根元に革紐状の葉をたくさん出して、冬中青々としているんだ。そして春も終わりを告げる頃になると葉は枯れてしまい、地下の球根だけになって暑い夏を過ごすんだよ。そして秋風が吹く頃になると、再び花だけが・・・・・というわけさ。
ついでにもう一つ、日本のヒガンバナは種ができないのは知っているかな? わざわざ日本のヒガンバナって言ったのには訳があって、大陸、すなわち中国のヒガンバナはちゃんと種もできるんだよ。じゃあ、どうして日本のヒガンバナは種ができないのかって? 一言で言えば日本のヒガンバナは3倍体だからだよ。3倍体とは、つまり普通は(2倍体って言うんだよ)母方と父方から受け継いだ一対であるべき染色体が、一対と半分あるからなんだ。ということは、今度自分が親になる際に、染色体がぴったりと半分に割りきれないから、種ができないと言うことになるのさ。どう、分かったかな?

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