レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

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西宮阪急「食のミニセミナー」

堀河屋野村 野村圭佑さんをお迎えして

2014/7/11 

428nishi-garden「三ツ星醤油」は和歌山の御坊市で、元禄の創業時よりその製法を守り続けて300年、本物の味を今に伝える醤油。今回は三ツ星醤油を造られる堀河屋野村の18代目野村圭佑さんをゲストに。「ウチは日本でも一番古い醤油屋のひとつです。」爽やかな物腰に紺地の前掛けがきりりと良くお似合いです。
「ガスは全く使っていないんです」大豆を蒸す、小麦を炒る・・・といった火を使う工程は今でも薪の火だけ。「薪を使うことで、ゆっくり火が入って、仕上がりがふっくらします」。蒸した大豆と炒って砕いた小麦は、塩水と麹菌を加えて、大きな木樽に仕込まれます。夏は1日2回、冬は2~3日に1回、職人の手で櫂が入れられ、1年半をかけ、じっくりと発酵させるのだそう。時間と手間を惜しまず、昔ながらの製法を大切に守られるのは、食べ物や麹が持つ自然の力を生かすためと言われます。
「一般に出回っている醤油は、脱脂大豆という油を絞った後の大豆を原料に使います。昔ながらのそのまま大豆をまるごと使って作られるものは『丸大豆醤油』と呼ばれ区別されています」野村さんは大学を卒業後商社に就職。偶然にも大豆を担当されることになり、知識を深める中で家業の醤油作りが守ってこられたことへの思いも深まられたのだとか。「原材料は大豆・小麦・塩だけ。すべて国産のものを使っています。醤油の旨みは大豆から香りは小麦から出ます。醪(もろみ)を絞った後、火を入れるのですが、底の焦げも醤油の風味を作る大切な要素。焦げの拭き取りにだけ使うみりんも原材料と扱わねばならず、表記には加えています。」醤油作りについて分かりやすくお話を。
今回の試食は「白和え」と「肉豆腐」。「白和えは具材の煮汁を取り分けておいて、最後に味や食感をみながら加えると失敗なくできます。肉豆腐は肉の旨味が出てしまわないように、一口分ずつ塊にしておくひと手間を。豆腐によって水分が変わるので、調味料を調節して・・・」セミナーの前に実演を交えてご紹介。「これは先日の『きょうの料理』でおふくろの味シリーズで紹介したもの。6月放送分の全メニューの中から、揚げ出し豆腐が3位に、白和えや肉豆腐も上位にランキングされたと聞き、家庭で食べ継がれてきた味を大切にしたいと思われる方がたくさんおられると知りました。」と白井。会場からも「今まで作ったことがなかったので作ってみたい」「おいしく作るコツがやっと分かった」という声とともに、「本物の味を次の世代に残したい」と三ツ星醤油へもたくさんのエールが。本物の味を守るために、商品の価値を知って買い手が支えることの大切さが自然に伝わってきました。生産者の規模に関わらず、誠実な思いで作られた商品が並ぶ西宮阪急のナチュラルセラーにも同じ思いを寄せて。
最後に「廻船問屋から始まって、味噌屋、醤油屋と長くのれんを守って来られたのは、原料を作る人、従業員、お客様、みんなに笑顔で支えてもらえたから。これからも自らの利益だけでなく、関わる皆さんに喜んでいただける存在でありたい。」と野村さん。まっすぐな言葉から、伝統への誇りと熱い思いが伝わってきました。(文:土田)

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