レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

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西宮阪急「食のミニセミナー」

株式会社エーデルワイス 代表取締役会長 比屋根毅さんをお迎えして

2012/10/12 

272nishi-garden会場に来られたお客様はウェディングケーキのような大きなデコレーションケーキにまず歓声が。この日のためにとご用意下さったケーキを会場で自ら仕上げて下さったのは株式会社エーデルワイス代表取締役の比屋根会長。「いつも白衣を着た経営者でありたい」と語られる比屋根会長は職人の魂を大切にされる方。「アンテノール」「ヴィタメール」「ル・ビアン」等、誰もが知る人気のブランドを展開される中、関西の洋菓子界を牽引する名だたる職人を育て、世に送り出されて来られました。15歳で石垣島から大阪へ。菓子職人としてフランスを始めヨーロッパで修行を重ね独立。「修行中、スイスの山で見た白いエーデルワイスの花が雪の中で力強く咲く姿に、自分も強くありたいと思いました。」とその名の由来を。
朝の日課は、数百年前のレシピ本やアンティークの製菓道具のコレクションを集めた『エーデルワイスミュージアム』への一礼なのだそう。「ヨーロッパの老舗は安易に品揃えを変えません。古いレシピを厳格に守り続ける頑固さに”本物”を感じます。古い本や道具から感じられる昔の職人たちの”手垢”と対話をするんです。」と時空を超え職人がつないできた”心”に深い敬意を持っておられます。 お弟子さんが増える度、その環境を確保するためにお店を増やす・・・。これまで人を育てるために規模を拡大されて来られたと語られます。「ウチの職人には本物を知ってもらいたい。厳しさの中でしか一流はうまれない。」とも。全国洋菓子技術コンテストでは2連覇を果たし、1位3位を独占されました。「2位も元ウチの職人の店の者です。世界大会で1位になったものもおります。間違いなく兵庫の洋菓子の技術は日本一です」と比屋根会長。おいしい洋菓子店が立ち並ぶ阪神間。その高いレベルを支えてこられた方でもありました。
入社式では「体の不自由な方やお年寄りに手を貸す人であって欲しい。例えばそれで出社が遅れても構わない。」と毎年話されます。その契機になったのはスイス・ベルンでの出来事。信号待ちをしている時、となりに目の不自由な方が立っていたことに気づかず渡ったところ、前から来た地元の人が目の不自由な人の元へ駆け寄り、手を差し出されました。そのすれ違いざまに自分に向けられた視線の痛みが忘れられないと言われます。自省を込めて人のあるべき姿を社員に伝えておられるそうです。
夢を聞かれて「湖があって子供たちが遊ぶ公園のそばには、お菓子工場やミュージアムがあって、おいしいお菓子を食べて、一日中楽しめて、心が満たされる・・・そんな場所を作りたいですね。夢物語のようですが。」と語られる比屋根会長。言葉の端々からにじみ出る、人として職人として根っこに流れる温かいものが、白井やお客様の心に伝わり、途中思わず涙も。心を揺さぶられる素晴らしいお話を聞かせていただきました。

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