レシピ&エッセイの白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

兵庫県手延素麺協同組合 理事長井上猛さんをお迎えして

2011/7/22 

219nishi-gardenそうめんといえば「揖保乃糸」。西播磨の470軒あまりの製造者を束ねる組合は「揖保乃糸」の品質と味を支える厳しいルールを守り、運営されています。今回のゲストは理事長の井上猛さん。「揖保乃糸はどんなところが他と違うんですか」と白井。「揖保乃糸は製造者立会いのもと、検査指導員がチェックし、割印をして組合に出荷します。原料は厳選したものを組合から支給しますので、製造者は10月から4月の製造期間の始めに、作る分だけ原料の申請をしておかねばならないという決まりです。麺の太さを0.1mmの単位で管理しているのは他にないと思います。手間や時間を惜しまず品質にこだわる姿勢が組合全体に行き渡っています。」と井上さん。製造者の規模に関わらず、一定の品質が守られるシステムが「揖保乃糸」を不動のブランドとして支えていることに会場も納得。作業は毎朝3時から。生地を練り上げ、延ばしては寝かせてをくり返しながら、縒りをかけて、乾燥させる・・・時間と手間と天候の三つが欠かせず、職人の手技が、仕上がりを大きく左右します。最近は室内での乾燥が多くなっていましたが、東北の震災以降、外気に触れないよう大きな部屋で風を循環させる方法に。風の当たり具合の違いを見て、場所を変えながらの細やかな作業なのだそう。「おそうめんを湯がく時には、びっくり水・・・というのは、急な火加減が難しかった昔の話。今は火力を弱めるだけでいいんですよね」と白井。今日の試食は1分15秒湯がいたもの。「通常は1分30秒ぐらいが目安ですが、試食は「特級」のヒネを使っているので、ゆで時間が少々変わっても大丈夫です。」と井上さん。ヒネとは最適の温度や湿度を保った蔵で囲い、熟成させたそうめんのことだそう。「年齢を重ねると心の器に幅が出てくる女性と同じで、ヒネはゆで時間が少々変わっても大丈夫。時間が経ってもコシがあるので幅広いメニューにも使用でき、にゅうめんでも美味しいですよ」と笑顔で。「でも、お家で蔵囲いをするのはダメですよ。」と白井も笑いながら。買った後は、できるだけ早く食べるのが美味しくいただく秘訣だとか。12月~2月の一番寒い時期にしか作れない黒帯の「特級」は、原料も上等で、麺も細い特上品です。たまたま目にした西宮阪急の売り場の特級ヒネものは、偶然にも製造者印が井上さんご自身のもの。「感動しました」と語られる井上さんのお気持ちがお客様にも伝わります。
「後継者の問題は?」と会場からの質問には「子供に継いでもらうには、車など高価なものを与えないで設備投資をと、私はこの10年間言い続けてきました。おかげで上手くいっています」と井上さん。今後の夢を聞かれ、「伝統を継承しながらも、向上心を持って人を育て、新しい商品を生み出したい。時代に先駆けたものを自ら感じて作り出すことが大切ですね。前より美味しくなったなぁといつも言われるように。」と明るく締めくくられました。今回の試食は『カラダにやさしいレシピ集』から「トマト入り生卵つゆ」で食べる冷やしそうめん。丹精こめて作られる手延そうめんのお話を聞きして、また特別な味わいでした。

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